Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

新政権の憂鬱

 内閣改造でちょっと支持率が回復してるものの、安倍政権の先行きはなかなかに厳しい。とはいえ、今回の大臣の顔ぶれはかなり評価できるもので、本当に仕事をしてほしいと僕に思わせるものがある。タイトルに「憂鬱」と書いたのは、フランスのお話。

 
 
 米国でよく大統領の就任後の3カ月を「蜜月」というが、マクロン大統領もその3カ月が過ぎて支持率が急落している。大統領/首相はその政権の顔であるが、実質的に行政を行うのは大臣以下の行政官だ。この中には政治任用の高官も居れば、政権が移行しても変わらずその責務を果たすことを期待されている実務部門の人もいる。
 
 トランプ政権がうまくいっていないのは、大統領が日々流しているTwitter暴言のせいだけではなく、政治任用すべきポストの大半が埋まっていないことが理由として大きい。寡聞にしてマクロン政権の内情は知らないが、既存政党の支援を受けず大統領になり、その後新党を結成しての議会選挙にも勝ったまでは拍手ものである。しかし新党の構成員はどうしても経験が不足している。

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 日本でも民主党政権交代した半年ほどは、支持率は保たれていた。しかし1年も経たぬうちに鳩山首相は退陣、後を継いだ菅政権も東日本大震災のせいもあって長くは持たなかった。沖縄の基地問題原発問題などがきっかけとなたのだが、根本原因として政権の経験という厚みが不足していたからだと思う。
 
 マクロン政権の支持率低下のきっかけは、財政規律のEU基準への適合を目指した緊縮策(これは公約でもあった)である。弱い立場の市民への支援を減らし、発言力の大きい軍の予算も削るという難しい政策を実行するにあたり、経験不足から慎重さが足りなかったものだろう。
 
 日本で最長の任期となった菅官房長官、彼は若い時に当時の古賀誠幹事長から「菅は政治をよくわかっている」と評された人物である。フランスのように拙速にことを進めることはないと思いたいですが・・・。
 
<初出:2017.8>