Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

三度目の衝撃かも?

 12月4日、今度はイタリアで国民投票が実施される。争点になっているのは憲法改正。レンツィ首相は、現在上院下院の権限が拮抗している状況では政権の安定運営は難しいとして、上院の権限・議員数を大幅に削減する提案をした。8月に最高裁判所国民投票を承認し、予算などが落ち着いたこのたび実施の運びとなった。

 第二次大戦後、イタリアでは5年の任期を全うした政権は出ていない。両院の対立が起きれば政治が事実上停止するため欠陥のある制度だ、というのがレンツィ首相らの危機感だ。日本でもよくある「ねじれ国会」というやつ。首相はこれに政治生命を賭けていて、国民投票で本案が否決されたら辞任すると言っている。

 現在の読みでは反対派の方が優位(10ポイントくらい)と言うが、今年もう2回投票結果に驚いた我々からすると、何がおきてもおかしくないという気にさせられる。賛成派が多数を占めれば、職を失う可能性のある上院議員らは別として、あまり大きな変革にはならないように思う。読みにくいのは反対派が勝って、首相が辞任したケースだ。

 反対派でもある野党「五つ星運動」「フォルツァ・イタリア」「北部同盟」は、ことごとくユーロ離脱を主張している。彼らが政権を連合してとった場合、ユーロ離脱の国民投票をやりかねない。世界的に反グローバリズム保護主義の台頭が顕著になっているから、主要国のひとつイタリアがユーロから抜ける事態も想定される。EUやユーロという壮大な実験は、窮地に陥るわけだ。


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 五つ星運動は有名な極右政治団体だし、北部同盟なんてかつてアフガニスタンタリバン打破をしたときの少数民族軍事連合と同じ名前ではないか。先が思いやられる。来年は、3月にオランダで総選挙、5月にはフランスで大統領選挙、秋にはドイツの総選挙もある。ギリシア問題も収まっていないし、トルコはEU加盟に向けた交渉をEU側が凍結したことに腹を立て、国境を開けて難民を送り込むぞと脅している。

 来年、欧州は試練の年を迎えることになるのだろうか。
 
<初出:2016.11>