Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

カジノ法案の行方

 TPPに沸く今国会だが、他にも成立が期待されている法案がいくつかある。そのひとつ「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」通称IR(Integrated Resort)推進法案が、審議されている。まわりくどい名前だが、簡単に言うとカジノ合法化の法案である。政府と一部推進派の議員としては、GDP600兆円と打ち上げた花火の一環としてカジノ産業振興のため成立を期したいところである。


 この法案2013年に国会に提出されたものの、現在まで継続審議中。観光開発・地域振興の期待がある一方、治安の悪化や依存症の蔓延が懸念される。法案骨子を見ると、

 ・カジノ管理委員会を設置

 ・カジノ運営事業者や関連産業(機器製造等)の規制を制定

 ・地方公共団体が設置地域を国に申請、国は地域等を指定

 ・指定された地方公共団体はカジノ事業者を公募し選定

 となっていて、特に目立った点はない。法の位置づけとしては基本法に近いものだろうから、あまり細かい規定はない。法制定後推進本部等が設置されて必要な法(IR実施法)を整備、この中で具体的な運用が定められる。

 カジノと言えば、僕の思い出はラスベガス。もう30年前になるが初めての海外出張がベガスのコンピュータショーだった。今でもCES(Consumer Electronics Show)はベガスでやっているが、その類のもの。まあこれも経験とスロットマシンはやってみて、$1スロットで負け¢25スロットで777が出て勝った。トータルで$30ばかりのマイナス。

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 依存症の人はどのくらいいるのかは知らないが、治安は全米でも最高にいい。変なことをするとツマミ出されるし、さらに性質の悪いのは周辺の原野に埋められてしまうらしい。街の顔役が居るので、治安は民間活力で維持されているということ。

 ベガスは砂漠(というか土漠)の真ん中に、ロッキー山脈から水を引いて作った人工の街。ネバダ州そのものに大した産業がないので、州でカジノを合法化している。サンフランシスコからの飛行機で行ったのだが、州境を越えたとたん「賭け事OK」のアナウンスがあった。空港の到着ロビーにも、スロットマシンがある。

 カジノばかりが目立つベガスではあるが、ギャンブルによる売り上げは5%程度だと聞いたことがある。実に多様なイベントが行われるし、カンファレンスも頻繁にある。ホテルの部屋の値段は大きなイベント・カンファレンスの時には高騰し(荒稼ぎ)、閑散期には安くなって個人客が利用しやすくなる。こういうのが、特定複合観光施設区域というのだろう。日本で、ここまでできればIR推進法案は意味がある。

 実は、日本は世界に冠たるギャンブル大国だ。パチンコの市場は、約19兆円。これは、全世界のカジノ市場(約18兆円)に匹敵する。すでに、全世界に匹敵するカジノ的産業のある日本。そこにどれだけカジノ産業が積み上げられるのか、僕には良く分からない。

 

<初出:2016.11>