Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

官民データ活用推進基本法(3)

 この法律、議論の過程において経団連が「データ利活用のための環境整備を求める」という提言を出している。(2016.7.19)

 
 
 この中で、経団連が具体的に求めているのは以下の6点。
 
◆紙から電子へ
  申請等で紙が正本、電子版は副本では困る。電子版こそが正本という姿勢が必要。
◆データフォーマットの標準化
  単位系やID体系などは標準化していないと意味あるデータ交換ができない。
◆官民共通識別IDの拡大
  個人IDや法人IDは定まったが、まだIDを振るべきものはある。
◆公共データのオープン化
  税金を使って収集・整備したものなので、国民に公開すべき。
◆人材育成
  データを扱う人材(データサイエンティスト、ビッグデータアナリスト)を育成。
◆新たなデータ流通の仕組み
  流通にあたって個人が関与する仕組みや健全なデータ取引の市場。
 
 このような要望を受けて、官民データ活用推進基本法は6点の相当の部分について記載されている。ただ、少し具体的なことを書き込んであるのは「電子政府」と「オープンデータ」についてだけで、他のことがらについては今後整備が期待される個別法に委ねた形である。
 
 「電子政府」については、行政手続に係るオンライン利用の原則化・民間事業者等の手続に係るオンライン利用の促進という記述がある。データ活用しようと思っても、申請されてきたデータのストックが紙でしたというのでは話にならない。活用の前に「データの整備」というプロセスは必須で、整備のためには「電子政府」が相応に進んでいないと困るわけだ。
 

    f:id:nicky-akira:20190427212012j:plain

 「オープンデータ」については、国・地方公共団体・事業者による自ら保有する官民データの活用の推進等、関連する制度を見直し(コンテンツ流通円滑化を含む)との記述がある。ここに事業者が入っているのは、かつてオープンデータを議論した時に「官のデータより民のデータの方がずっと重要」という利用者側の意見があったが、これを汲んだものと思われる。ただ政府が事業者に「データを出せ」と迫るのは難しいので、制度をどう改定するのか議論の余地は大きい。
 
<続く>