Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

官民データ活用推進基本法(1)

 IR(カジノ)法案、年金法案などで年末までもめた昨年の臨時国会だったが、その隙間を縫うようにして議員立法で提案された「官民データ活用推進基本法」はあっさり成立してしまった。もちろんここに至るまでには経緯があり、この臨時国会に出て来るまでに相応の潜伏期間があった。

 第二次安部内閣のIT戦略「世界最先端IT国家創造宣言」では、経営資源として情報(データ)を、ヒト・モノ・カネと同列に扱っている。昔から「情報を制するもの、世界を制す」というように情報は重要資源であるが、デジタル技術の進展や普及があってその利用可能性は幾何級数的に増えてきた。

 一口にデータ活用といっても、全く広い世界である。かくいう僕も40年近くこういうことに取組んできて、ほんの一端を知りえたに過ぎない。この法律は個々の応用分野については触れず、大きな方向性を示したものである。何度か書いたが議員立法の場合は、大方針を定めるだけで具体的な応用分野においてやるべきことはこれから作られる法律に委ねられることが多い。具体的にどうこうしようとすれば、従来の法律との整合性などを幅広くチェックしなくてはならず、官僚の組織的な活動しかこれを成し遂げることは難しい。

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 そもそも行政府である官僚組織でないと法律が作れないということで、立法府衆議院参議院)はどういう役割なの?との疑問は当然ある。行政府が自分のやりたいように立法することさえ、議会や国民のチェックが十分でなければ出来てしまうわけで、教科書で学んだ「三権分立」って本当に守られているのだろうか?


 それはともかく、今回成立したこの法律について少し考えてみたい。この法律の目的など概要は、第一条に書いてある。

 目的:国民が安心して暮らせる社会及び快適な生活環境の実現に寄与すること。
 手法:官民データの適正かつ効果的な運用による。
 位置づけ:基本理念を定める。
 具体的には:国、地方公共団体及び事業者の責務を明らかにし、基本計画の策定など
    基本となる事項を定める。また「官民データ活用推進戦略会議」を設置する。

<続く>