「富士そば」などの巨大立ち食いそばチェーン店に混じって、首都圏のかなり狭いエリアに15店舗ほどを展開しているのが「梅もと」。元は個人商店で、1961年に株式会社となって、うどん・そば販売と弁当等の販売を行うようになった。ただ、巨大チェーンとの闘いは決して楽ではないようだ。
かつては多角化を目指してピザチェーン店を数店だしたこともあったが、早々に撤退している。僕が最初に「梅もと」に出会ったのは、中目黒駅の駅そば店としてだった。この店舗は駅の改装で消えてしまった。駅周辺を含めたこの改装では、ずいぶんいろいろなお店が増えたので仮に残っていたとしても、生き残れたかどうかわからない。
また虎ノ門に近い西新橋交差点近くにもあったのだが、気づいたら「富士そば」になってしまった。隣は「いきなりステーキ」だし、ここも激戦地である。そのようにうら寂しささえ感じさせるこのチェーンだが、八重洲地下街の北の端に残っていた。
メニューは、そば・うどん・どんぶりものと他のチェーンと大きな違いはない。ちょっと目立つとしたらラーメンが前面にでていることくらいだろうか。暑くなってきた時期でもあり、選んだのは「冷やし中華」、480円なり。食券を渡すと「3分くらい待ってくださいね」とのこと。待つのはいいのだが、次々と客がやってくるので「座って待っててください」と言われて水のコップだけ持って席に着いた。
両隣は派手にそばをすすり、どんぶりをかき込んでいる。なんとも手持無沙汰である。ようやく出来上がった冷やし中華は・・・皿ではなくどんぶり入りだった。綺麗に盛られているのだが、ちょっと違和感があった。そう、定番のハムの細切りがないのだ。錦糸卵、かにかま、メンマ、キュウリと紅ショウガに辛子が添えてある。
味の方はまずまずでしたが、ハムの替わりにかにかまとメンマとはね。まあ、慣れればいいかとも思ったのですが、せめてお皿で出してほしかったですね。
<初出:2018.6>