Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

人海戦術の国で・・・

 兵力というのは、過去においては兵士の数で計測できた。「戦いとは数だ」というのは真実であった。ギリシア・ローマ戦争やアレキサンダー大王の東征などは、戦術に優れたとはいえ決戦場にどれだけの兵力をあつめることが出来るかというのがテーマになった。ナポレオンが欧州大陸を制覇できたのも、多くの優秀な将軍が個々の部隊を的確に決戦場に導けたからである。

 
 かつて戦争と言えば多くは陸戦、槍や弓矢で攻撃し盾などで防ぐのだが、武器の優越というのはそんなにはなかった。例え鍬や鋤で武装していても、気合で追いつめれば士気の低い軍隊の兵士は逃げていく。そうであるから、士気の高い数の揃った兵隊群をみせるだけで、勝利は目の前にあった。
 
 その後銃器の射程や命中精度が伸びてきても、兵士の士気は重要な戦力指標だった。帝国陸軍は物資の不足を精神論でカバーして、「無敵皇軍」と称していたくらいだ。得意の戦術は「突撃」、銃剣で決着を付けようとした。火力が十分ではない軍隊としては、やむを得ない面もあった。
 
 同じように十分な物資がなかった第二次世界大戦のころのソ連軍、人口だけは一杯あった。スターリンは人間を叩きつける戦術で、訓練されたヒトラーの軍隊と対峙した。「Human Wave」、いわゆる人海戦術である。

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 そのソ連軍の系譜を引くロシア軍について、意外な報道があった。徴兵制を廃止するというのだが、時代はここまできたかという感慨がある。米軍も10年以上前から「Transformation」と称して軍制改革を進めてきた。機械化・自動化・無人化が進んで、戦闘要員を減らすことができている。強いロシアを標榜するプーチン大統領ウクライナ扮装などを抱えながら正規軍の縮減に踏み出そうとしている。
 
 
 それにしても軍事大国ロシアにして90~100万の陸軍兵士、それも減らそうというのに、半島の付け根の国はいまだに100万人の陸軍、10万人の特殊部隊をもつという。早く核武装して、縮軍したい気持ちは分からないでもありませんが・・・。
 
<初出:2017.11>