いくら大統領選挙があったからといって、このところのロシアの国威高揚の言動は目に余る。「西(ヨーロッパ)側支配の500年は終わった」というプーチン大統領の発言もあった。英国に逃れた元スパイたちを暗殺もしくは暗殺しようとしたしたとして、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツの4カ国がロシアを非難する声明を出した。本来日本もG7の国としてこれに加わるべきだったろうが、「ウラジミール&シンゾー」と呼び合う首脳同士の親密さからか、そうはならなかった。
米朝首脳会談は5月までにどうなるか分からないが、日露首脳会談はすでに何度も行われており、両国政府とも平和条約締結には意欲を示している。そのネックとなっているのが、いわゆる「北方領土」。国後、択捉、歯舞、色丹の4島(諸島)の帰属問題である。旧ソ連は太平洋戦争が(日本人としては)終わった後中国東北部や千島列島に侵攻、上記4島は現在もロシアが実効支配している。
「ウラジミール&シンゾー」の信頼感が高まった時期、ロシアの経済状態が良くなかった(今でも良くない)からか、2島返還話が軌道にのったかと思えることもあった。それが頓挫した理由の一つは、「返還した島に米軍が、沖縄のように駐留すること」をロシアが恐れたからだともいう。今回もロシアのラブロフ外相は、日本が「イージスアショア」のようなミサイルディフェンス(MD)を導入することに懸念を示した。
MDを入れるなら日露交渉は進展せず、北方領土問題も遠くなりますよと言っているわけです。しかし目くじら立てることはありますまい。だってMDをすり抜ける、無敵の超高速ミサイルをお持ちなのですから。
<初出:2018.3>