第二次世界大戦が始まったころ、主要国の歩兵用ライフルはボルトアクションで弾倉には5発入っていると言うのが標準だった。日本軍も「38式歩兵銃」というものを第一線兵士の装備で、38というのは1938年ではなく、明治38年制式というのだから驚く。元々銃器というのは発達の遅い機器で、一番豊かと言われていた米陸軍にしても、1911年制式のコルトガバメントを20世紀終わりまで使っていた。分隊支援火器BAR1918も、第一次世界大戦から朝鮮戦争まで使われた。
個人火器の中心であるライフルの革命は第二次世界大戦にやってきた。大戦初期でも米軍は、スプリングフィールド小銃を使っていた。これが半自動式のM-1ガーランドになって従来の5連発から8連発になった。それでもクリップの携行数は10を超えることなく、携行弾数は100発は超えなかった。
第二次世界大戦終盤、全自動/半自動切換えの突撃銃というものを、ドイツが開発した。20~30発のクリップ(弾倉)を装備し、弾幕を張ることができた。米軍のBARに匹敵する火力を個々の歩兵が持つようになったのである。突撃銃は、現在各国の軍隊が装備していて、陸上自衛隊も例外ではない。
突撃銃型の銃は、全自動ならひとつの弾倉を2~3秒で撃ち尽くす。6個持っていたとしても、20回ほど全自動で引金を引いたら弾切れになってしまう。そうなれば抑止力(戦力)にはならないし、身を守るのも心細い拳銃だけになってしまう。銃弾の消費量の多いこの型の銃では200発程度の携行は普通である。これを「重武装」と喧伝するのは、単に軍事知識がないだけなのか、あるいは「いちゃもん」か?
現代の陸上戦闘では、兵士の死傷原因のほとんどは、砲撃・爆撃・仕掛け爆弾である。銃器の中でも個人火器の役割は少なく、分隊火力の多くは機関銃や分隊支援火器(ライフルと同じ銃弾を使うが発射速度の高い小型機関銃)に拠る。そういう事実を踏まえたうえで、記事を書いてほしいものです。
<初出:2018.9>