Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

半島のカタストロフィ(4/終)

 宇宙・サイバー空間・航空・海上・海中の通常攻撃については、完全に被害を防ぐことはできないにしても、現行の防衛力でしのげるのではないかと述べた。しかし、非正規戦となると話は変わってくる。

 彼の国には、100万人の陸上戦力と10万人の特殊部隊がいると言われている。映画で見るような超人たちではないにしても、単独でも行動可能な士気の高い兵士がいることは間違いがない。現に陸軍中野学校出身の小野田少尉は、フィリピンのルバング島終戦後30年間も戦い続けた。

 仮に、半潜水艇などで4人の特殊部隊員を日本のどこかに上陸させ得たとしよう。ロケット砲のような重装備を持っていないとしても、自動小銃と拳銃、手榴弾でも持っていれば大変な脅威である。通常の警察力で制圧できるとは思えないし、宣戦布告などがない「平時」であれば、自衛隊の行動は厳しく制限される。原子力発電所など要警戒設備に侵入されなくても、イベント会場や大規模商業施設(ソフトターゲット)で人質でもとられたら、その地域は大混乱に陥るだろう。

 本来上陸される前に阻止すべきだが、これも「平時」と思われていたなら海上保安庁海上自衛隊も思い切った行動はとりづらい。何隻かは阻止できても、一部はまんまと上陸してしまうかもしれない。


    f:id:nicky-akira:20190428202954j:plain

 以上は彼の国の統治機構が作動していて、ある程度の指揮命令の上で作戦が行われたケースを考えてのことだが、もっと困るのは指揮命令系統が作動しなくなった時である。簡単に言うと、彼の国が崩壊状態になり100万人の軍人が勝手に武器を取って「武装難民」となって日本海に出没するケースである。

 特殊部隊といえど軍人なので、ジュネーブ条約などは知っているだろう。勝ち目ナシと見れば、降伏するかもしれない。しかし武装難民にルールはない。あらゆる手段を使って略奪し、逃走する。包囲されたとしても、死ぬまで抵抗するだろう。組織的な移動手段は持っていないだろうが、日本海沿岸であれば漁船を奪ってでも荒らしまわることはできる。

 中東や地中海、ウクライナで起きているようなことが日本周辺でもおきるかもしれないと危惧する。そう、カタストロフィは突然やってくるものだ。
 
<初出:2017.3>