Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

バルト海の緊張(1)

 日本にいるとあまり感じないのだが、ヨーロッパではロシアは「ならず者国家」に近い印象を持たれている。NATO諸国はやむなくシリアへのロシア介入は黙認しているものの、クリミア併合やウクライナへの(事実上の)介入は容認できない姿勢だ。

 
 本当はシリアへの介入も認めたくないのだが、仮にロシアを追い出せたとしてもその結果アサド政権が倒れればシリア全体が液状化してしまう。ますます多くのシリア難民が自分たちのところへなだれ込んでくるのだから、必要悪としてのアサドは延命させなくてはならない。そのコルセット役のロシアもまた、同じ必要悪というわけ。
 
 僕が見えていたロシア周りの課題はそのくらいだったのだが、スウェーデンがロシアとの戦争危機が迫っていると国民に警告しているという記事があった。クリミアで起きたことが、スウェーデンとロシアの間にある島やスウェーデン本土に起きないとは限らないのだ。
 

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 スカンジナビア半島にある3つの国で、第二次世界大戦で中立を保てたのはスウェーデンだけ。ノルウェーはイギリスとドイツが同時に侵攻をたくらみ、一歩先んじたドイツが大半を占領した。ロシア(当時のソ連)に最も近いフィンランドは、ソ連が大戦に参戦する以前に「冬戦争」という侵攻を受けた闘いに始まり、ドイツの同盟国として敗戦にいたった。
 
 スウェーデン潜在的なドイツの友好国とも見られ、豊富な鉄鉱石を産するなど魅力あるターゲットだったが、ソ連も他の連合国も侵攻しなかった。理由の一つは小規模ながら精強な軍隊にあった。実はその伝統は、3/4世紀たった今も受け継がれている。
 
<続く>