Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

バルト海の緊張(2)

 冷戦期はソ連からの核攻撃や侵攻に備えて、スウェーデン政府は核シェルターを建設したり、国民にいざという時のマニュアルを配ったり、対応する訓練をしていた。それも1991年に冷戦の終結をもって終わっていたのだが、ロシアの現状を見て徴兵制を復活させたりマニュアルの配布を再開したりしている。

 
 ロシアは経済制裁が効いてGDPはマイナス成長で国民の暮らしも苦しいのだが、「大ロシアの復活」を掲げ実行力もあるとされるプーチン政権への支持率は高い。スウェーデンがどんな判断でロシアとの紛争が近づいていると考えたのか、僕なりに考えてみた。

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 まず経済が苦しいことから、実効支配エリアを拡大するための侵攻に出てくる可能性はある。うまくいけば、国民の支持もより強固になる。うまくいかなくても、外圧が高まることを逆用して支持を高められるかもしれない。スカンジナビア3国の人口密度は低く、ターゲットとすべき重要拠点は少ない。小規模な戦力での短い作戦によって、成果が得られる可能性もある。
 
 加えてNATOのリーダーたる米国大統領があんな具合で、ひょっとするとプーチンの盟友かもしれないとの疑惑もあるから、援軍として計算できない。以上の理由から、ロシア軍がバルト3国やフィンランドも含めてバルト海周辺で作戦行動を起こしかねないと見たのではないか。
 
 そうなれば、小規模だが精強なスウェーデン軍にのしかかる責務は重い。
 
<続く>