Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

百発百中の火力演習

 緊張が高まる半島情勢だが、かの国の指導者は核実験ではなく大規模砲撃演習でプレゼンスを示そうとした。浜辺にずらりと並んだ砲兵部隊が対岸の島に向けて一斉射撃をするというもの。自走砲やロケットランチャー、小型のジェット爆撃機と思しきものまで登場し、指導者殿の満面の笑みで終わる。公開された映像を見て、正直驚いた。

 
 
 登場する兵器が骨董品なのだ。別の記事では昔の映像を切り貼りしたのではないかとの推測もあったが、それも無理はない。具体的には、ちらりと登場したロケットランチャー。旧ソ連のBMシリーズと思われる。ご覧のようにトラックの上にロケット発射用のレールを乗っけたもの。写真はソウルにある戦争記念館に展示されているBM-13(通称カチューシャ)である。

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 この手の兵器は第二次世界大戦に、多分に間に合わせ兵器としてスターリンが登場させたもの。このBM-13は130mmロケット弾を16発連続発射できる。ロケット弾の最大射程は8,500m、もとより命中精度を期待できるものではなく一杯並べて弾幕を張るのが役目である。これを向けられたドイツ兵たちは、独特な飛翔音から「スターリンのオルガン」と呼んだ。火力か脅威だが、そう簡単には当たらないと思っていたらしい。
 
 あの映像が本物だとしても、恐ろしく古い兵器の屋外展示のようなものである。とても報道のように「百発百中」とはいかないだろうし、あのように並ぶ前に無力化されてしまいかねない。だから本気で戦う気はないのだろうと思いたいが、対するトランプ先生の軍事知識もすさまじいのであれを見て激怒、先制攻撃を考えるかもしれない。
 
 ちなみにほぼ同時に公開された米韓軍事演習、攻撃ヘリや精密射撃のできる戦闘車両が目標を撃っていたが、50~60年の時差すら感じた。あのような旧式兵器ははやく博物館に移し、映画に使ってもらうなどして始末しないと、それ自体にも維持費はかかるのですよ。
 
<初出:2017.5>