Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

核ミサイル完成のあかつきには

 

 ある軍事評論家が、「核・ミサイル問題」から中黒点が消えて「核ミサイル問題」になったと言っていた。個別に進んでいた開発が、核弾頭をミサイルに積んで一斉射撃できるようになったかもしれないとの意味である。移動式発射台や潜水艦からの発射実験も進んでいるし、固体燃料の実用化もメドが立ったように報道されている。不明なのは誘導能力だが、確実に脅威は増している。
 
 かの国の指導者は「核ミサイル」開発を止めないし、中国が(トランプ先生の圧力で)説得に来ても聞く耳をもたず、ロシアに接近することでバランスを取ろうとしている。第二次朝鮮戦争が始まり、半島やその周辺で多くの犠牲者が出る危機はそれなりの確率で続いている。

    f:id:nicky-akira:20190512105548p:plain

 そのような戦争が起こらず、時間だけが経過しかの国がしかるべき命中精度を持った「核ミサイル」を保有するに至ったとしよう。そうすれば、かの国の指導者が望む平和が訪れるのだろうか?かつてのイラクサダム・フセイン)やリビアカダフィー)は、核兵器を持たなかったゆえ米軍などに攻められて滅んだ。核兵器を持てば力の均衡によって、米軍襲来は予防できるとかの国の指導者は考えている。
 
 この説はある程度は正しい。現実に米軍(だけではないが)が、核兵器を持つ国に戦闘を仕掛けたことはない。今回はその後を予測してみたい。かの国の指導者が祖父や父以上に「核ミサイル開発」にめり込んできたのには目的がある。それは、意外かもしれないが「軍縮」である。
 
 人口2,500万人あまりの国に、100万~120万人の兵士がいると言われる。人口1億2,000万人の日本で自衛官が25万人ほどだから、異様に高い比率であると思わなくてはならない。かの国の新しい指導者は、スイスなどへの留学経験もあり普通の国家経営感覚をもっているように思う。そうであれば、今のかの国にとって必要なことは異常に偏った人材ポートフォリオを是正することと思うだろう。
 
 しかし、自国は休戦中である。いつ敵軍が攻めてくるかわからない。ゆえに兵力は減らすことができない。そこでより強力な兵器(核)の開発をもって、通常兵器の軍縮を図ろうとしたのだろうと僕は思う。通常兵器すなわち兵力の削減である。ういた労働力を生産活動に廻せば、かの国の経済は好転するだろうということだ。
 
 このロジックは正しい。しかし、問題は縮小される組織の理屈だ。軍縮とは簡単にできることではない。それゆえ日本でも、2・26のようなクーデター未遂がおきている。僕の勝手な予想だが、無事核ミサイル開発が成って、次のステップである通常戦力の削減に動いた時、かの国でクーデターが起きるのではないだろうか。軍は軍縮しようとするものに抵抗し、それを排除しようとすることは在りうるだろう。別に楽観論ではなく、そのように僕は予想しています。
 
<初出:2017.4>