自衛隊の装備等を、一般人が見られる機会というのが時々ある。富士の裾野での「総合火力演習」というのが有名で、10式戦車や対戦車ヘリコプターが目標を吹き飛ばすシーンはポスターにもなっている。もっと小規模なものだが、海上自衛隊の艦船を見学できるイベントがあると聞いて、行ってみた。
公開されていたのは、ひうち型多用途支援艦の5番艦「えんしゅう」。このクラスは「灘」の名前をつけている。
◆えんしゅう
基準排水量 980トン
出力 5,000馬力
速力 15ノット
乗員 45名
装備 消防装置、艦艇曳航装置、魚雷回収装置、
自走式水上標的×2、管制装置
就役 2008年
兵装としては搭載小火器扱いの12.7mm機関銃(多分M2だろうな)が2丁あるだけ、戦闘は想定していない。
公開開始時間には、すでに20人くらいの人の列ができていた。6~7人くらいの組で2名の自衛官が説明員として付いてくれる。納税者対応とはいえ、丁寧なことである。
手荷物検査を経て待つこと10分あまり、僕たちの順番が回ってきた。同じ組に見るからにマニアックなお兄さんがいて、「呉の大和ミュージアムに行った」などとのたもうている。乗船して最初に見せてもらったのは「信号旗」。万国共通の旗で、カラフルなものだ。使い込まれていて、近くで見るとヨゴレもあるのがリアルである。
あまり経験のない急な階段(ラッタルというのかな)を登って艦橋へ。乗船する前に「両手を空けておくようにしてください」と注意された意味が分かった。片手だけでは危なっかしいくらいの急階段である。艦橋の両脇には、探照灯(奥)と双眼鏡(手前)がある。65式双眼鏡と銘板にあったので、1965年制式(皇紀2665年じゃないよね)なのだろう。さすがは軍用、覗いてみたが倍率が半端ではない。
艦橋に入ると左手に海図が広げてあって、デバイダが海図の上に置いてあった。思わず「デバイダ、使ってるんだ」とつぶやくと、「電子的な海図を使うことが増えていますが、これもまだ現役です」との答え。
艦橋内の中央には、少しだけ電子化されたコックピットが収まっている。ここに位置(GPS)や針路、機関の状況、速力などが表示されている。ひうち型の最初の建造は2001年、設計は20世紀だろうからその時点で実用化されている電子機器を使っているはずだ。20年前くらいの技術と考えていい。コックピットが古めかしく見えるのは、やむを得ない。
<続く>