Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

どちらの立場で参戦?

 

 第二次欧州大戦が始まった頃の笑い話をひとつ。ある日、ポーランドソ連と分割し英仏相手の西部戦線の想を練るヒトラーの下へ、副官が駆け込んでくる。「総統!イタリアが参戦しました。」という。ヒトラーは落ち着いたもので「2~3個師団送って、適当にあしらっておけ」という。しかし副官は「総統、違います。イタリアは当方に立って参戦したのです。味方です」と答えた。
 
 するとヒトラーの顔色が変わり「それは大変だ、10個師団以上送って支援するんだ。航空軍も1個必要だな。なんとしてもムッソリーニを守るのだ」とあわてふためいた、というもの。これはそこまでの話だが、中国軍が北朝鮮沖で軍事演習を始めたという記事については、笑い話では済むまい。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/08/post-8164.php

 国連で新たな制裁決議が出てからも北朝鮮エスカレーションは止まらない。グアムの米軍基地をミサイル攻撃するとか、日本ごときは一瞬で焦土と化すとか、慣れてきたとはいえ耳障りな話である。一方、そこまで言われて男トランプ、黙っているわけには行かない。激しい炎と怒りに直面するぞと、脅し返す。有事の円高日経平均の下落が起きたところを見ると、これまでよりは危機が深刻だと金融界は見ているようだ。
 

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 そこで中国軍の演習である。僕は以前、半島有事が起きれば鴨緑江ぞいに兵力を並べ渡ってくるものは何でも撃ち倒すことだけ中国はするだろうと述べた。今回の演習はそれをずっと上回るレベルの戦力である。米朝(必然的に韓も)事あるときには、中国の介入がどちらに立ってのものかは大いに気になる。かつての朝鮮戦争で中国が北朝鮮側に立って参戦したのは「血の盟友」を守るためなどではないとの主張は、以前にも紹介した。

https://blogs.yahoo.co.jp/nicky_akira_0119/20645302.html?type=folderlist

 同義的には北朝鮮に加担し、米韓軍と直接砲火を交えるとは考えにくい。もちろん、北朝鮮軍を叩くというのもありそうもない。ただ歴史を診ると、考えにくいことありそうもないことはしょっちゅう起きている。常識的には「秋の党大会まで双方とも何もしないで!」とのメッセージを込めた示威的軍事演習なのだろうが、偶発もあり得る。「一瞬で焦土」にされてしまう日本には何もできそうもないが、中国軍の介入があれば地域紛争では終わらなくなってしまう。そうならないよう、中国も含めて自制をお願いしたいです。
 
<初出:2017.8>