Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

「チューブ」の終夜運転

 ロンドンっ子の足である「チューブ」こと地下鉄が、2路線で週末限定の終夜運転をするという。金曜・土曜の夜は時間を気にせず遊べると言うわけ。他の3路線も今年秋には終夜運転を始めると言うことで、期待は高まっている。これも都市政策のひとつだが、政策につきものの効果はというと「15年間で約100億円の経済効果、2,200人の新規雇用」が得られるという。

 15年間とは長い期間をとったものだが、要するに10億円くらいの効果では注目されないということだろう。注目されなければ市民の支持が(政策にも政治家にも)得られないということだ。雇用の2,200人というのは大都市ロンドンにしては小さい印象をもつが、それだけに信憑性があるのかもしれない。新規雇用はたとえ1人でも、重要な政策目標なのだ。

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 今回は「週末限定」ということなので影響は少ないかもしれないが、24時間稼動というのはシステムにとって難しいことである。まず、メンテナンスの時間が取れないのが気になる。稼動させながらのメンテナンスは、ものにもよるが一般に難しい。複数の機械が並行してサービスをしている場合は、1台を止めても他の機械がカバーしてくれる。銀行のATMコーナーで「お取り扱い中止」の表示が出ている場合があるが、故障もあるが定期メンテナンスの場合が多い。
 

 24/7というのは、常時サービス提供のキーワードになりつつある。シンガポールや英国で24時間/7日決済可能な金融システム導入が進んできて、日本でも追随する方向と聞いた。大都市では24/7のサービスが増えてきている。電力・通信・水道などは昔からだし、コンビニはもちろん、ホテル・外食チェーン・スーパーマーケット・フィットネス・タクシー・空港等々。

 逆に言うと、まだ24/7になっていないサービスも多いということ。行政・金融・バス・鉄道など、工夫の余地はまだ多く残されている。ロンドンの政策効果が本当なら、これらを24/7化すれば経済効果と新規雇用が生まれるはずだ。
 
<初出:2016.8>