Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

シェアリング・エコノミー(2)

 "Uber" は、将来の運転手候補の免許取得や、自家用車購入の支援もしていると聞く。このような新興産業が襲ってきたら、日本のタクシー業界はどうなるのだろうとも思う。現時点では"Uber" は「白タク」扱いなので、日本では違法である。ただ、規制緩和圧力は当然ある。利用者の立場からすれば、選択肢がふえることはありがたい。特に山間地など、バスもタクシーも(経営が成り立たず)十分整備されていない地域においては、活用の機会はあるだろう。

 

 もうひとつ米国発のベンチャーを紹介したい。ボストン発のバス・シェアリングシステム"Bridj" である。ボストン市内数百箇所に、仮想のバス停を持っている。そこに14人乗りのミニバスを走らせているのだが、その運行ルートは刻々変化する。例えば、新宿三丁目伊勢丹前にいる人が、何時までに京王プラザホテル前に行きたいとインターネットで注文したとする。

 すると、何時何分に行くべき場所を示される。もちろん、徒歩でいけるところ。この例ではビックカメラ前かもしれない。行ってみると、何人かの人が集まってくる。同じようにバスを注文した人たちだ。遅滞無くミニバスがやってきて乗せてくれる。予想通りの時間に京王プラザに到着、運賃はすでに登録済みのクレジットカードで落ちている。

 "Bridj" は道路の渋滞・気候・イベントなどの情報を蓄積していて、運行中のバスのルートをどう変えたら新しく入ったリクエストに応えられるのかを自動的に判定するという。スマホ上に「仮想のバス停」がポップアップするというのは、面白い発想だと思う。昨年ワシントンDCでも"Bridj" の車両を見かけた。ボストン以外にも展開が始まっているらしい。ただ、ワシントンDCの人は「使ってみたけど、時間は不正確だ。DCの渋滞はボストンの比ではないから」という。まだ、DCでのデータ取得が不十分なのだろう。

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 "Bridj" の社長には、一度だけ会ったことがある。彼自身も若いのだが、若い人たちがクルマを買えないのに、ボストンという街の公共交通は不便だったのでこのシステムを考えたという。当局とは何度も折衝を重ね、仮想バス停の位置や運行時間を決めるのに時間を費やしたという。ミニバスにしたのも、規制が少なかったかららしい。このシステムなら、日本でも違法ではないだろうと思う。

 日本のどこかの街が、このシステムを導入してくれたらいいと思っている。

<続く>