Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

シェアリング・エコノミー(1)

 一般の自家用車に比べて、タクシー用車両の走行キロメータの桁数は1つ多い。タクシー用車両は一般車の10倍走るということらしい。逆に言うと、一般の自家用車はタクシーの1/10しか走らない、ほとんどの時間帯は止まっていることになる。また、別荘やリゾートマンションをお持ちの方もおられる。当然ながらこの部屋は、常時人が居住しているわけではない。

 このように空き時間のある「資産」を、必要としている人に使ってもらう「シェアリング・エコノミー」という概念がある。ホノルルで最初に泊まったコンドミニアムは、部屋のオーナーが居て一部の棚に鍵をかけてオーナーのものを収納してあった。オーナーが来ない期間は、普通のコンドミニアムとして貸し出すわけだ。

 日本でもリゾートマンションを会員でシェアするというモデルは、ずいぶん前からあった。こういう仕組みが昨今急増しているのは、インターネットによる"Matching" が非常に広範囲に行えるようになったからである。

 すでに年間20億$の売り上げを揚げるまでに成長した「世界最大のタクシー会社 Uber」は、皮肉なことに1台のタクシーも保有していない。市井にある自家用車などを、モビリティを欲している人に振り当てることがメインのサービスである。2009年創業で、西海岸発インターネット・ベンチャーのひとつだった。

 特筆すべきは、サービス側(白タクの運転手)の評価を乗客ができること。乗客の評価をサービス側ができること。評価が公表されるので"Matching" する際に、お互いに相手をそれなりに理解できることにある。
 

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 僕は海外でも、なるべく電車やトラムなど公共交通機関を使う。それでもワシントンDCのように空港の便利が悪いと、タクシーを使わざるを得ない。(最近地下鉄が延伸してきて悪名高いダレス国際空港も便利になりつつあるが) 米国のタクシーは清潔でないし、横柄だし、英語通じないし・・・いやなものだった。それが競合相手"Uber" の登場以降改善しつつある。

 もちろん、トラブルもある。インドでは"Uber" の乗客のレイプ被害があったし、フランスでは"Uber" 排斥を叫ぶタクシー運転手のストライキもあった。それでも、世界に徐々に広がりつつある。先月ジュネーブで夕食を済ませた帰り、少し遠いホテルに泊まっていた友人がスマホをかざして、

 「Uberが、うようよ来たよ。ホテルから来る時に使ったので、そろそろディナー終了と思っているのだね」という。彼はきっと上客なのだろう。

<続く>