ドイツやベルギーなら、現地で出されるどんなビールでも外れはないと思っている。味覚が繊細と言えないようなイギリス人やオランダ人にしても、自国のビールには誇りを持っている。しかし大西洋を渡りアメリカ合衆国に来ると、そうはいかない。黙っているとクアーズとかバドワイザーとか、アルコール入り炭酸飲料みたいなものを飲まされかねない。
ならば輸入ビールを、という気にならないのが僕のアマノジャクなところ。特に東海岸では、現地の物ということでサミュエル・アダムズをよく飲む。今回の出張、最後の夜はWhole Foods で買ってきたおつまみでおひとり様ドリンクとしゃれこむことにした。慣れない外国、会議の後の会食などで胃腸も疲れていることもあるし。
テーブルに並べたのは、サミュエル・アダムズの330ml入りとリースリングの白ワイン750mlである。このワイン、通常よりアルコール濃度の薄いものを選んでゆっくり飲むことにした。飲みきれないかもしれないが、ハーフボトルが手に入らなかったのでやむを得ない。
会合や会議、打ち合わせの後だと、どうしてもそれまでのことを引きずる食事になる。昨日まではそうだったし、それも出張／仕事のうちではあるから仕方があるまい。それでも仕事が全部終わった今、妙に気を遣う会食はできれば避けたかった。こういう時、定宿Lombardy の小さなキッチンのある部屋はありがたい。
ゆで玉子のアペタイザーから、チーズとサラミのおつまみでサミュエル・アダムズを飲んだ。仕事は全部うまくいったわけではないが、こののど越しにはほっとさせられる。リースリングを２／３ほど飲んで、バジリコスパゲッティを食べ終わるまで、ゆっくりとした夜が流れました。
＜初出：2017.6＞
