ワシントンＤＣの冬は意外と寒いという。そういえば１ヵ月ほど前にもドカ雪が降って、交通に支障をきたしていた。しかし４月ともなると、東京よりずっと温かい。ポトマック河沿いに植えられているソメイヨシノも、日本より早く咲き散っていった。
この時期、午後７時すぎまでくらいは陽が落ちない。今回メインの日には朝からマフィンなどかじりながら挨拶し、ビュッフェランチをはさんで午後も会議を行った。午後５時くらいになると、時差ボケや英語で脳が腐りそうになっている。そろそろ議論も収束し、前日のウェルカム・パーティに続いてメイン・レセプションになる。
こういう時、天候さえ良ければアメリカ人は「屋上へいこうぜ」と誘う。この建物の屋上からは、議会のドームの上半分が見えるしコロンブス・サークルを見下ろせるから気分はいい。フルーツ・チーズ・野菜スティック・サンドイッチなどが並んでいる。一品ものも串焼きみたいなものやカナッペは、ウェイターが廻って来て勧めてくれる。
飲み物はと言えば、ビール・ワイン・ソフトドリンクが用意されていて、好みの物を伝えるとズラリと並んだグラスに注いで出してくれる。まだ陽が残っていて温かいので、まずはビール。東海岸ものならサミュエル・アダムズ、そうでなければベルギーのヒューガルテンあたりが適当。とてもビールとは呼べない、クアーズやバドワイザーは絶対に手にしない。
次は冷えている白ワイン。カナッペをつまみ、時には会議中の話題もしながら２杯ほど呑む。素面でなかなか言えなかったことも、この場面なら言えることがある。まあ、言いすぎることもないではないが。そして最後は常温の赤ワイン。濃厚なチーズをつまみながら、これは１杯くらいで収めた方が無難ですね。何しろ、これから地下鉄に乗ってホテルまで帰らなくてはいけないのですから。
＜初出：2017.4＞
