Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

軍用機の迷彩塗装

  F-4EJ「ファントムⅡ」といえば古い軍用機だ。ベースとなったF-4の初飛行は1958年というから、僕なみのお年である。それが今年の航空祭でみどりを基調にした迷彩塗装で登場した。これを旧日本陸軍のカラーだという記事があった。

https://trafficnews.jp/post/79195

 特段「旧軍の復権につながる!」などという過剰反応ではなく、軍用機の迷彩についてコメントしたものだった。記事の中に海軍の「零戦」や陸軍の三式戦「飛燕」の迷彩に近いとの記述があるが、「飛燕」などがどうしてこういう迷彩塗装をしたかについては書いてないので、少し補足したい。

 軍用機は(戦闘機は特にそうだが)、敵より早く相手を見つけることが重要である。したがって見つかりにくい色にすることにある。見つかりにくいということは、背景に溶け込むということで背景に近い色・柄に塗ることが多い。ただ3次元空間を飛び回る機体を、これも3次元空間を移動する機体から見るわけだから背景もいろいろある。

 一般に下から見上げられた場合には、空や雲が背景になるから機体の下面はグレーに塗装することが多いようだ。一方、より高い高度から見下ろされた場合は地面や海面を背景にすることになる。海面の色はさまざまなので、グレーでもいいだろう。しかし地面となると地形によって変わってくる。


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 「零戦」は日本海軍の長距離戦闘機として開発され、海上だけでなく陸上基地にも配備された。デビューが重慶攻撃に向かう陸上攻撃機の護衛だったことからも明らかである。またフィリピンやインドシナ半島での戦いも想定されていた。これらの地形は密林である。そこで陸上基地配備用には上面が密林を背景にしたとき目だたない暗緑色を基調にした塗装になったようだ。

 三式戦「飛燕」もニューギニア島での戦闘が最初だったから、やはり密林。この機体はドイツのメッサーシュミットと同じ液冷エンジンを積み高速・重武装で期待されたのだが、整備が難しく活躍はできなかった。「零戦」に比べ知名度が低い「飛燕」ですが、優秀な戦闘機だったのは確かです。この記事を見て、ある種の郷愁に囚われました。

<初出:2017.12>