Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

韓国の電子政府(1)

 「崔順実ゲート」というのだそうだが、大揺れの韓国。大統領任期が切れると、親族が逮捕されたり本人が罪を問われたりする。ひどいのになると、死刑判決まで出たことすらある。行政TOP(というより権力)に問題が多々ある国であることは、間違いがないだろう。

 
 しかし、その少し下中央行政には優れたところがあって、日本の行政府が見習うべきこともある。10年余り前、住民基本台帳制度はできたものの住基カードはほとんど普及せず、個人IDを使った行政効率化(電子政府の進化)も期待を裏切った。これを唱えてきた産業界は、落胆していた。そこで、電子政府先進国の韓国を視察しようということになった。
 
 最初に案内されたのは「情報安全部」という役所。韓国の「部」というのは、日本の「省」にあたる。日本同様10余りの「部=省」があるのだが、電子政府に関する機能は全て「情報安全部」に集約されているという。つい最近できたばかりの「部」ということで、なるほど「省庁再編」をしたのだなと思った。
 

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 驚いたのはそのスピード感、議論が始まって2ヵ月で新しい「部」が出来てしまった。しかもどうやって作ったのかというと、各「部」のIT関連部門を全部集めたという。この手法は、日本でも大手企業がやっている方法だ。草の根的に方々の事業所や支店、総務・経理などの部門がITを導入していたので、統一的な運用をしようと思うと問題が噴出してくる。
 
 ・購入しているベンダーが違う
 ・同じ仕事でもITでの実現仕様が違う
 ・操作する人が現在のシステムに慣れている
 
 などの理由で、ITの統一にはカベが立ちふさがっているわけだ。これを解決する方法としては、事業所も支店も部門も例外なく、彼らが持っているIT部門を組織・人事的に取り上げて統一した組織にしてしまうのが手っ取り早い。
 
 事業所付属のIT部門長は、どうしても事業所長の顔色を見て仕事をする。しかし組織をこのように変えてしまえば、みんな統一IT部門長の言うことを聞かなければクビの回りがうすら寒くなる。
 
<続く>