Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

シンクタンクの在り方

 もり・かけ問題、セクハラ問題だけでなく、このところの官僚機構の対応のまずさは目に余るという人も多いだろう。これには2つの仮説があって、

 
(1)官僚機構そのもののタガが緩んで、単純なミスをカバーできていない。
(2)官邸主導のタガが強すぎて、通常は隠せたものを意図的にバラそうという勢力がある。
 
 共通するのは、「安倍一強体制」が長く続いていることに起因している点である。(1)のタガとは省内あるいはその部局のガバナンスのことであって、省益優先でこれを守るDNAは多くの官僚は持っている。これを壊してしまったかもしれないのが(2)のタガで、政治主導で「省益あって国益なし」という官僚体質を改めようとした結果であろう。
 
 僕が上記の問題より気にしたのは、働き方改革における厚生労働省のデータのミス(というか改ざん)。日本をどうしていくかの議論にあたっては、現状どうなっているかのデータが信憑性にあるものでなくてはならない。コンピュータも政策議論も、「ゴミを入れれば、ゴミが出てくる」だけだ。
 
 大手の三X総研、〇村総研なども、政府の発注で調査などする場合には、発注元の意向を無視できない。これは民間でも言えることで、僕自身も自社のIT市場調査を依頼する場に立ち会ったが、調査会社の素原稿を見た発注側(調査部等)が「これじゃ、カネ払えないな」というと翌日の原稿のグラフは全く違うものになっていた。
 
 

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 この政府機関についての疑問を呈したオピニオンには賛成で、今後の政府の財政や福祉、地方支援施策などに確からしい人口推計が使われているかどうか疑問に思う。多くの自治体は人口減少に歯止めがかかる計画で自治行政をフォーキャストしているが、元総務相の増田氏らが「地方消滅」を示した調査もある。
 
 日本には独立系のシンクタンク、バイアスをかけずに本当の事を言える機関はあまりありません。理由は、運営資金が集まらないからです。資金を出してもらえばそちらからのバイアスがかかるし、資金が無くては調査もままなりません。これが日本のこれからの課題だと思うのですが、いかがでしょうか?
 
<初出:2018.5>