Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

20年後の職業

 オックスフォード大学のオズボーン准教授が「雇用の未来-コンピュータ化によって仕事は失われるのか」という論文を発表した。AI(人口知能)やIoTの発展・利用拡大によって、これまで人手が必要だったことがコンピュータやロボットに代替されてゆくことが背景にある。オズボーン准教授のチームは702の職業を精査し、その仕事を人間がしなくても良くなる確率を計算した。

 
 
 つまりこれは「あと10年で消える職業、なくなる仕事」の調査結果に等しい。例えば各国で実験が始まっている「自動運転」。この技術が確立され、普及したらタクシーやバス、トラックの運転手の仕事は間違いなく減る。 銀行の窓口係、融資担当、集金係など、消える職業の相当部分が金融業だったことに、金融業界は衝撃を受けているとも聞く。確率90%以上で無くなると指摘されたものをいくつか見ていこう。
 
◆スーパーなどのレジ係
 すでに一般のスーパーでも「セルフレジ」が導入されている。もちろん有人レジがゼロになるには時間がかかるだろうが、有人から無人(セルフ)へシフトしていくことは疑いがない。そもそも日用品購入にネット通販を使う客が増えれば、スーパーそのものが縮小せざるを得ない。
 
◆保険の審査担当者
 生命保険は少し時間がかかるだろうが、自動車損害保険などは"Connected Car" ばかりになれば、事故の前後の映像や機器の状況などがデジタルで入手できるので、おおむね自動判定が可能になろう。それだけでなく「自動運転」技術が成熟し普及したら事故そのものが激減するだろう。これは社会にとっていいことではあるが、誰も保険を必要としなくなれば、損害保険会社そのものが成り立たない。
 
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 10~20年後に、我々が見知っている職業の半分が無くなるという話もある。逆に考えると、その分新しい仕事が出てくるのだろう。ある人がこのような議論の途中で、「今の小学一年生のうち半分は、現在存在しない職業に就くことになる」と未来を憂えてつぶやいた。確かに、無くなるからには生まれてくることもあろう。
 
 自分に当てはめてみると、この話はうなづける。僕が小学校一年生だったころ、20年ほど後に就くことになる「コンピュータ・サイエンティスト」という職業は無かった。あってもごく一握りで、エレクトロニクス・エンジニアの中にまぎれてしまっていたはずだ。そう考えると、未来はまるきり暗いものとも言えない。ダーウィンの言葉。
 
 「強いものが生き残るのではない。変化に適応できるものが生き残る」
 
<初出:2016.11>