今年のG20でも米中対立は、当たり前の話だが解けなかった。今月からはG20の議長国は日本になる。6月末がサミットで、僕に多少関係のある「貿易・デジタル大臣会合」は6月中旬つくば市で行われる。それに先立ち、ビジネス部門の会合B20は、3月中旬と聞いた。もうあまり時間がない。
米国の「開かれたインド・太平洋戦略」は、明白に中国を封じ込め「一帯一路」を無力化しようと言うものだ。特に僕の専門領域であるデジタルエコノミーでは、開かれたインターネットを求める日米欧などに対して政府が関与したインターネット(もどき)を主張する中国等が対立していることは何度か紹介した。
そんな中、中国国内の金融・経済の専門家の話を聞く機会があった。ひとりは中国政府の財政部門の幹部だったと言うA氏、日本で言えば前財務事務次官というところだろうか?彼は米国が中国に貿易戦争を挑んできたことを、総GDPで第二位の位置を占めるようになった今、No.1がNo.2を叩く状況になるのは必然と述べた。
しかし中国の現状は、ひとりあたりGDPでは中位国。先進国の入り口にあって種々のジレンマに悩んでいるという。核兵器の存在によって、大国同士の戦争(例:第三次世界大戦)の可能性がなくなった今、中国は「人類は運命共同体」の立場をとるべきとして、具体的に8つの提案をしていた。
(1)イデオロギーを薄めよ
(2)劣勢時に利口な真似をしない
(3)全面的な(改革)開放を堅持すること
(4)内需拡大(を格差拡大をさせないように)うまくやる
(5)改革にあたり安易な道をとらない
(6)「一帯一路」構想の推進
(7)人民元の国際通貨化
(8)ソフトパワーの向上
大きくなったように見えるが中国経済はまだ足元は弱い。米中経済戦争が本格的になればまだ米国には勝てないから、ここは隠忍自重もう一度改革開放路線に戻るべきだとおっしゃる。
<続く>