27日、板門店で歴史的な南北首脳会談が行われた。年齢も体重も背景も違う2人が抱き合って笑みをかわすという、想定を超える親密度が印象的だった。文大統領の方は平和原理主義者のような人物なのでこのような行動は理解できるが、金委員長の方は従来のコワモテを捨てて冗談まで飛ばしていた。これが演技だったら、かなりの俳優である。
個人的には、この変身「俺の核のボタンの方がでかい」などとコワモテというより狂人に近いトランプ大統領を本当に恐れたからだと思っている。もちろんまるきり信用できるわけではないが、当面衝突の可能性が低くなったのは悪いことではない。
少し(というか相当)先の話になるが、仮に半島に統一国家ができた時に何が起きるか考えてみた。人口8,000万人というのは、ドイツ・フランス並みの大国だ。韓国だけでもロシアを上回るGDPがあり、自動車産業、エレクトロニクス産業など有力な経済基盤もある。さらに、核兵器は隠し持つだろう。このような国の出現を他国はどう見るのだろうか?
日本としては、微妙な話だがあえて排除することも自ら核武装することもないだろう。普通につきあうだけだ。米国には2つの選択肢がある。朝鮮戦争「終戦」によって、国連軍たる米軍の駐留の必要はなくなる。しかしドイツにも米軍は居残っていることから見ても、駐留するかしないか判断が分かれよう。
中国としては、米軍が駐留する半島統一国家ができることは避けたい。かといって実力で米軍を排除するのも好ましくない。ロシアはというと、これは悪夢だ。自分よりGDPの大きな核を持った国の出現はなんとしても避けたい。
ここからは「妄想」に近いのだが、ロシアを中心に統一妨害の工作は活発化すると思います。サイバー攻撃、フェイクニュースの流布で不和のタネをバラ撒いたり、ハニートラップや買収で高官を操ることもあるだろう。でも日本としては出来ることは少ないですね。結局見ているだけか・・・。
<初出:2018.4>