Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

アップルショックと言われるかも?

 日米とも株式市場が冴えない。右肩上がりを続けてきた米国市場の伸びが止まり、長期の調整局面に入ったという専門家もいる。激化する米中貿易戦争はすでに本物の戦争に近くなってしまったし、英国のEU離脱サウジアラビアの不安定化、ロシアとウクライナの対立激化など、国際情勢が緊迫しているのも一因には違いないだろう。

 
 しかしこれまで米国株式を押し上げてきたのは「21世紀の石油」と呼ばれるデータ産業、GAFAに代表されるこれらの企業の株価が頭打ちもしくは下降しているのだ。
 
 
 代表的なアップルの株価を見てみよう。3年前は$90/株だったのだが、順調に右肩上がりをして2017年1月には$110、2018年1月には$180を越えた。2年でおおむね倍になったわけだ。2018年前半はやや乱高下したが、後半に入って急激に伸びピーク時$232まで達した。

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 このまま行くと3年で3倍かも、とほくそ笑んでいた株主もいたかもしれない。しかし10月になると時々$10/日ほど下落することが何度かあって、多少持ち直してもすぐに下降することを繰り返した。今では2018年に上げた分を全部吐き出し、$180前後で推移している。
 
 データ産業と言われる各社は、デジタル時代の新しいビジネスモデルを次々に繰り出してきたからこそ成長してきた。アマゾンの台頭でデパート業界が苦境に追い込まれるなど、既存産業を喰って大きくなった面もかなりある。その新ビジネスモデルがそろそろ尽きたのではないかと、市場が見始めているようだ。AI技術/IoT技術の発展で使えるデータは増えてきているのだが、同時に個人情報の乱用を社会が怖れはじめていてこれまでのようにデータの入手や活用が自由にできなくなるかもしれない。
 
 もうひとつ株式市場ではないが、仮想通貨もかなり怪しいことになってきた。一時期$6,500の値が付いていたビットコインだが、下落続きで$4,000を割ったという。一部には$2,500などという数値を言い出す人も出始めた。
 
 
 そろそろ沈静化してくれればいいのですが、このままGAFAの株価やビットコインの価値が下がり続けると、後世の経済評論家が「アップル・ショック」などということになる金融暗黒時代がくるかもしれません。
 
<初出:2018.11>