10日に終わった臨時国会だが、開会当初から2人の大臣の資質問題が浮上し、どうなることかと思わせた。中でもオリンピック/パラリンピック担当の桜田大臣の迷走ぶりには、さすがの僕もあきれてしまった。桜田先生はいい人と言われていて、自民党内からももちろん地元からも非難する声は聞かれない。
答弁回数の少ないオリ/パラ担当にする配慮だったのが「適材適所」の意味だが、サイバーセキュリティ基本法改正も担当することになってしまったのが致命的である。霞ヶ関の役人から主だった野党の議員まで、桜田センセイの資質は良く知っているので集中砲火を浴びることになる。
初歩的なICT関連の用語の意味を問われてあたふたしたり、PCは使ったことがないと答弁したり、目をおおうような低レベルの国会質疑が続いた。海外メディアも、「PC使わないなら、いかなハッカーも彼をハッキングできない!」と揶揄される始末。
サイバーセキュリティ基本法改正案は先の通常国会で審議してもらえず、この国会で通らなければ日本のサイバーセキュリティ対応能力向上が難しくなる。単にオリ/パラが妨害されるという程度のリスクではないのだ。しかし桜田センセイの迷走は変らないのに、改正法案は成立してしまった。野党の先生方も、分かってくれたと言うべきだろうか。
・漁業法 養殖に企業参入を認める。
・水道法 上水道にもコンセッション方式が選択可能とし、民間委託を認める。
・入場券不正転売防止法 オリ/パラ控えてダフ屋禁止を明示。
・サイバーセキュリティ基本法 民間企業間の情報共有、連携を可能とする協議会を設置。
このほかTPPや日欧EPAの国会承認も終わり、経済外交も一安心。憲法改正議論こそ進まなかったが、これだけの成果を上げた臨時国会、安倍政権の成果というべきか、それとも野党の無策か。少なくともこれらの国民生活に影響のある法案の内容や審議の状況について、メディアがもっと発信してもらうべきだったと思う。国民が関心をもてば、与野党とも真剣な議論をしてくれるはずなので。
<初出:2018.12>