Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

情報弱者は災害弱者

 一瞬、阪神淡路大震災を思い出させた。同じ月曜日の朝、月こそ違え同じ17日。今回の大阪地震、午前8時近くだったから通勤通学の真っ最中だったことが、地震規模(マグネチュード5.9)の割に大きな混乱をもたらした。近畿圏は首都圏よりも私鉄網の発達したところ、近鉄、京阪、南海、阪神、阪急と関西に縁遠い僕でさえ、いくつも思いつく。JR西日本の強力なライバルたちである。

 
 地下鉄も含めてこれらの鉄道に路線バスなどを乗り継ぎ、乗り換えるのがこの地域の通勤通学客の普通の姿だろう。ある駅から目的地の駅に行くルートも複数存在していて、人身事故などで一路線が止まっても迂回路を利用すれば遅れずに目的地に行けることもある。その時に重要なのは「情報」である。阪神淡路大震災の時には、ラジオやチラシ、初期のパソコン通信程度が情報源だったが、今はスマホとインターネットがあり情報源は確実に増えている。
 
 
 しかし鉄道会社のホームページにはアクセスが集中し、つながりにくいこともあった。そもそも安全サイドに倒しやすいインフラ事業者の公式発表では、焦る利用者が満足することは少ない。SNSは有力な情報源だが、私見(偏見?)も入り偽ニュースが紛れ込むこともある。
 
 もっと重要なことは、個々の交通事業者が自分の路線の情報だけしか出さないことだ。行けるところまで行ってみて、初めて乗り継ぎ路線が止まっていることが分かったりする。こういう緊急事態の時こそ、全ての交通事業者の情報が連携する必要がある。ただ複数機関のデータ連携といいうのが簡単ではないことは、何度かご紹介している。

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 国交省では昨年から、「公共交通におけるオープンデータ推進に関する検討会」を開いて交通事業者がもつデータ、政府機関が持つデータを公開して、これらを基にいろいろなサービスを創造しようという試みである。相互連携が難しいなら、データをオープンにして整理したりユーザに見やすくする工夫はネットサービス事業者に任せようということだ。
 
 
 2020年のオリンピック/パラリンピックを控え、不慣れな外国人旅行者に適切な情報提供ができるようにするには、個々の交通事業者の努力だけでは不足だということだ。例えばマイナーな言語への翻訳でも、個社では難しくてもまとめてサービスする事業者がでてくることを期待している。ここに書いてあることに異論はないのだが、どのくらい各事業者さんが本気でデータを出してくれるか、緊急時には特に迅速に出してくれるかがポイントですよね。
 
<初出:2018.6>