Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

公共交通分野のオープンデータ(4)

 協議会という背景こそあれ、東京メトロが自社の情報をOpenにして自社の利用者へのサービスを向上するというモデルは分かりやすい。乗り換え情報が求められるというので複数事業者間でこれを共有するというのも、それほど違和感のある人はいないだろう。交通事業者(単数でも複数でも)が利用者への情報提供をするのは当たり前の話、運賃に含まれていると利用者が考えてもおかしくない。

 
 東京メトロのアプリケーションコンテストのように、利用者の利便性を向上させる新しいサービサーを発掘し参入させることも、交通事業の本筋である。国交省の中間整理では、オープンデータのメリットとして以上のことと、オリンピック等での効果を挙げている。ここが少し物足りない。データ活用を追及してきたNINJAとしては、データが思わぬ使われ方をするシーンをいくつか見ている。交通事業者の持つ膨大なデータは、別の事業体・業種で思いがけない効果をもたらすのではないかと期待しているからだ。
 
 例えばICカード乗車券のデータ、あるカードを持った人がどの駅で何時に乗り、この駅でそれもどの方面の改札で何時に降りたか、交通事業者は何年もにわたって情報を収集できている。もちろん本人の同意をとっていないケースでは個人情報を匿名化するなどの配慮は必要だろうが、統計情報として有益なものではなかろうか。

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 高校時代の一時期駅前のカメラ屋に入り浸っていた僕だが、当時DPE事業が柱だったカメラ屋の店主は「駅の西口の人流は本店で抑えられる。東口は北東へ流れる人と南東へ流れる人がいて、南東方面は最近出した支店がカバーする。残りは北東だが、調査によると他の2つよりはずっと少ないので当面はこれでいい」と話していた。
 
 簡単な人の数だけでこういう店舗戦略が立てられるのだから、乗降時間帯や男女別や年齢別などの情報が加われば、外食産業や小売業などへのアピール度が変わってくるはずだ。店舗賃貸の経済価値を考えれば、不動産業界が自らの商品の価格設定をするにあたり、そういう情報を有償でも欲しがるように思うのだが。
 
<続く>