Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

ラストチャンネル・メモリー

 TV業界の視聴率戦争は有名だが、不毛な戦いのようにも見える。一時期視聴率不正騒ぎがあり、関東地区のモニター件数のあまりの少なさに、「そりゃ、買収とか偽装とか可能だよね」と思ったものだ。確か、600軒くらいだったと思う。その状況は変っていないのだろうか?今はインターネットにつながっているTVも増えたことだし、リアルタイムに視聴状況を把握できるのに・・・。

 

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 の記事で注目したのは、朝の4時台の番組が争点になっているということ。誰が見るのかね、と思いきや5時ころから始まる情報番組(僕は見たことがない)へのつなぎとして、重要なのだという。4時台の番組を見ていた人は、特に何かが無ければチャンネルを変えずにそのまま情報番組を見るというわけ。まあ、時計代わりにぼんやり見ているだけではあろうが。
 
 つまり情報番組というのは、出てくる司会者やゲストスピーカの好き嫌いこそあれ、内容に差はないのでどこをえらんでも同じということであろう。特ダネのような何かがチャンネルを変えさせるようなことは、滅多に起きないし起こせない。
 
 この記事を読んで、15年ほど前のことを思い出した。当時「放送と通信の融合」という言葉がはやっていて、僕らICT屋とTV機器屋さんが共同プロジェクトをやれという話が持ち上がった。僕はコンピュータが専門、通信機屋さんとの共同プロジェクトだって単語が違ってうまくいっていないのに、今度はTVかと肩を落として会議室へ行った。
 
 TV機器事業部門のベテランの企画屋さんが最初に僕らにぶつけた言葉が「ラスト・チャンネル・メモリー」だった。コンピューター屋も通信機屋もきょとんとして、「それ何?」と聞いた。TVは電源を切っても、次に電源を入れると見ていたチャンネルで立ち上がる。マイクロソフトの決まった画面が出てきて、アプリを選びなおすPCとは違うわけだ。
 
 しばらく話していて、これは大分感覚の違う業界だと(お互いに)思った。それ以降いくつかのトライアルはしたものの、目立った共同プロジェクトはできなかったように思う。見た目は似ていても、PCがつなぎっぱなしになろうとも、TVで情報検索ができようとも、生まれの違いは大きいなと今でも思っています。
 
<初出:2017.9>