Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

サウジアラビアの危機

 トルコのサウジアラビア総領事館で、ジャーナリストであるカショギ氏が行方不明になって、2ヵ月になろうとしている。今では彼がサウジアラビアの意図で殺害されたことは確実とみられているが、生きたまま切断したとか、溶かして排水溝に流したとかいう猟奇的な話と、腕時計型(?)のデバイスが一部始終を録音していたというハイテク話が混在するメディアの喜びそうな事件である。


 事件現場がサウジアラビアに敵対しているトルコだったことから、エルドアン大統領の「名探偵ぶり」も華々しい。米国に亡命中の彼を捉える機会としてやむをえなかったのだろうが、サウジアラビア当局もしくは背後にいるとされるムハンマド皇太子はやはり軽率だったといえよう。

 この事件はもはやサウジアラビア一国の問題、トルコとの2国間関係に留まらない規模になったしまった。欧米はじめ多くの国から国の姿勢を糾弾された結果、ムハンマド皇太子が中東のWEF(世界経済フォーラム)のつもりで企画したFII(未来投資イニシアティブ)も空振り感が強いし、ついにはサウジアラビア内戦のウワサまで出てきた。

https://biz-journal.jp/2018/11/post_25498.html 

 

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 1991年、中東の狂犬と言われたサダム・フセインクウェート侵攻をしたとき、僕らはイラクが「悪い国」だと思った。しかし解説者によると、イラクは中東では民主的な国で、クウェ-トやサウジなど王制国家より政治体制は先進国に近いと言っていた。確かに名前からして「サウジ家のアラビア」なのだから。ムハンマド皇太子は「石油に頼りきらない国」を目指して改革をしているというが、その急進的(時には強権的)手法は世界経済のリスクだと思っている。


 あたって欲しくない予想なのだが、イラン原油の停止よりよほど大きなインパクトのあるのが「サウジ内戦」。その時、日本はどこから石油を買えばいいのだろうか?安倍総理プーチン大統領を会われたそうですが、ひょっとして「北方領土問題解決」は、ロシアから石油買いたいからですか?

 

<初出:2018.11>