Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

スポーツ庁ができてから

 今年になってから特に感じるのは、スポーツ組織での不祥事の多さである。大相撲の暴力事件、アマチュアレスリングパワハラ騒動、大学アメリカンフットボールの悪質タックル、そしてアマチュアボクシング会のドンへの告発である。

 
 ドンという方のインタビュー映像を見ると、ヤクザと見紛うばかり。そういえばこういう人、昔はどの組織にもいたよなと思った。人が3人集まれば派閥ができるというのが、よく聞かされた警句。組織が大きくなりいろんな考え、卒自、目標(というか野望)を持った人間たちが集まってくると統率をとるのが大変になる。
 
 そこで求められるのが、ある程度「強権」をもって組織を束ねる長である。今回のボクシング選手が持ち出した録音には、「会長の意思を思って、納得してくれ。会長自身が直接言うのはできないので、代わりに言う」という趣旨の発言があった。これが「ドン」を頂点とする階層型組織を統率するやり方なのだ。
 
 政界はもちろん、官界、学界、各種団体、企業でも、このようなヒエラルキーは存在する。しかし、いずれも「透明性」を問われるようになって、改善の方向にはある。例えばグローバル企業では社外取締役が増えてきて、「組織の常識は世間の非常識」という体質を改めつつある。
 
 スポーツ界に話を戻すと、2015年にスポーツ庁ができてからこの種の不祥事が目立つようになった。長官が不祥事のたびにTVに登場するようになったから、よけいそう思うのかもしれない。別にスポーツ庁が検察のような役割をしているわけではないのに皮肉なことではあるが、多分スポーツ庁の存在とスポーツ界の不祥事増には関係性がある。

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 2013年に東京オリンピックパラリンピックの開催が決まり、スポーツ庁も出来たし関連予算も増えた。その成果としてバドミントンなどは一気に強国にまでなったのだが、その原動力はお金である。新人の発掘からコーチの招聘、練習環境の整備などにお金が廻るようになったからこそである。
 
 思うに上記のような不祥事は昔からあって、それは組織の中に隠蔽されていたのだろう。そこに「オリンピック景気」ともいうべき新しいお金が流入し、組織内の力関係が変わったのではないか。それが組織内不満分子のリークや告発という形で表に出たものと思われる。
 
 特にアマチュアスポーツ界の「浄化」につながってくれれば、それだけでもオリンピック誘致の意味はあったと思う。ただ、とても暑く「運動は控えてください」という環境で戦う選手たちは気の毒ですが。
 
<初出:2018.8>