Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

「東京」が消えていく

 その昔「都銀」というものは、10以上あった。もうその全てを挙げることのできる人も少ないのではないだろうか。今は再三の合併で、3.5行になっている。三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3メガ銀行とやや小ぶりのりそな銀行である。いずれも複数の銀行が合併したもので、支店の統廃合や基幹システムの統一、データの整理や人事的な課題に取り組んでいる。

 
 人事といったが、みずほ銀行の一部となった第一勧業銀行では、第一銀行・勧業銀行の合併後長い期間頭取を交互に出す硬直した人事が行われていた。それが興銀・富士銀と合併したのだが、素人目には3行の合併だったが実際には4行がその中にあったと評する人もいた。
 
 3.5行のひとつ三菱東京UFJ銀行では、来年4月で「三菱UFJ銀行」と名称を改めると発表した。確かに長が過ぎる名前であり整理するに越したことはないのだが、とうとう「東京銀行」の名前がなくなる日が来たかと思った。
 

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 都銀再編の流れの中で、鴻池を発祥とする三和銀行と巨大な名古屋の地銀である東海銀行が合併し「UFJ銀行」となった一方、旧財閥系の三菱銀行と国際取引に秀でた東京銀行が合併し「東京三菱銀行」となった。その後、UFJ銀行が金融庁を怒らせる事件があったせいか、この2つが合併してメガ銀行となったものである。この4行、僕自身が接した感じでは全く行風が違った。
 
三菱銀行:とにかくお堅い。旧大蔵省の役人が「三菱銀行は官僚的だ」と言うほど。
三和銀行:関西的気風なのか、商売優先。比較的自由な雰囲気で、好奇心旺盛。
東海銀行:無借金経営主義の名古屋地区代表で、商売面でお堅い(手堅い?)。
東京銀行:国際派が多いせいか、洗練された印象を与える人が目立つ。
 
 合併後はどうしても三菱系の支配が強くなったようだ、その結果他の3行出身の人がかなり外に出て行った。昨年金融系の会合でICTのお話をさせてもらった時、参加者の半分ほどが東京銀行出身だった。会場のビルも日銀の南隣で、旧東京銀行の本店だったのだと説明された。お話をしているうちに、国際金融に注力した「東京銀行」の実力の一端が分かったように思った。その「東京」の名前が消えるのは、ちょっと寂しいですね。
 
<初出:2017.6>