Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

銀行の口座管理手数料

 昨年末に3メガバンクが、「口座管理手数料」を利用者(預金者)から徴収することの検討を始めたとの報道があった。これについての識者のコメントも複数出ている。

 
 
 このコメント記事では2018年版金融ビッグバンという言葉が出ているが、実際1990年代の金融ビッグバンの時に本件は議論したことがある。当時の調査では、米国の銀行は30万円以下の預金しかない口座については年間1,000円くらい(金額については諸説あり)の口座管理手数料を徴収するのが常識だった。
 
 ビッグバンで国境が取り払われるのだから、邦銀も同じ様に口座管理手数料を取るべきだというのがそれ。その後東京三菱銀行が新規口座開設のケースで、上記の主旨を踏まえた契約をすることになった。
 
 ところがその話は他行に広がらず、東京三菱銀行でも聞かれなくなった。制度はあるのかもしれないが、少なくとも宣伝はしていない。上記の記事では、銀行は「貸金庫業になった」としているが、すでに貸金庫業なのである。貸金庫については、利用者は年間利用料を支払うことに抵抗はしていない。いやなら借りなければいいのだから。
 

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 この記事に言うように、口座管理にはコストがかかる。そのコストを利用者に転化できないのは、高度成長期に口座の数を競い顧客を囲い込む競争をした時代の名残りであり、現在の社会モデルにはそぐわないものだ。銀行は上記コストに目をつむる代わりに、顧客ベースを使った別事業(個人ローンなど)で埋め合わせていたわけだ。これからの社会・経済モデルは、かかる費用は利用者に負担してもらい、その分別のところから埋め合わせるのをやめることが求められると思う。
 
 従って僕自身はメガバンクの考えに賛成なのだが、いろいろな抵抗勢力もいるので実際にできるかどうかはグレーだ。あと手数料の金額や条件設定によっては、預金から株式投資に廻す人もでてくるかもしれない。それで株式市場が活性化するなら、いい話ではあります。
 
<初出:2018.1>