Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

Automated Teller Machine の行方(4)

 1990年代に「金融Big-Bang」という言葉が飛び交い、「護送船団方式だった日本の金融業界に自由競争が入ってくる」と期待も不安も入り混じった思いで関係者は何が起きるか見守っていた。今にして思えば、外資系が多少参入してきただけで大した変化はなく、むしろバブル崩壊による拓殖銀行や山一證券の破綻の方がおおきなインパクトを業界に与えた。時間を掛けてだが、10行以上あった「都銀」は3つのメガバンクに再編された。

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 それまでの銀行業界は完全に旧大蔵省の支配下にあり、支店や店外設置ATMを増設するにも許可を得る必要があったし、容易に許可は下りなかった。どこかを閉鎖してその分で新設するのが普通だったらしい。
 
 ある合併銀行は、合併によって余剰になった店舗を閉鎖して、その分をコンビニと提携してコンビニATMを設置した。要するに支店閉鎖の分をコンビニATMに割り当てたのだ。先進的な地銀は、支店とコンビニを一体化させた店舗を作った。そのうちコンビニの雄セブン・イレブンがセブン銀行を設立した。

 銀行はバブルの後始末もあって一層の合理化を進めていたし、コンビニは人寄せの意味もあってATMの設置を進めた。また全国に2万以上の店舗をもつ郵政公社が民営化され、3万台近いATMの運営者となった。ガリバーが顕在化したのである。また共同ATMの運営を独立した団体が行うことも考えられ、専業者としてイーネットが現れた。これも大口の運営者である。

 前回紹介した保険会社や証券会社のATMなどは早々に撤去され、銀行の中にも自前ATMなど要らない、コンビニ提携でいいと言い出すものも現れた。こうして現在のようなATM勢力分布が完成するのだが、そのコンビニすらもATMが自分に必要なものか否か、見直し始めているようだ。

<続く>