Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

文政権の失敗を見ているはずなのに

 市民の労働環境を改善しようという政治家の思いはよくわかる。先進国と言われている国では例外なくグローバル化の波にさらされて、熟練を必要としない職種の報酬は下がり続けている。僕の業界では、中国やインドさらにそれより遠い国から1/10のコストで仕事を請け負うという人たちが続々やってくる。

 
 外国人労働者の受け入れ是非などということを議論する間もなく、インターネット経由でやってくるのだから防ぎようがない。日本のICT産業の労働者たちは、彼らにない付加価値を身につけないと、つまり熟練労働者にならないと生き残れなくなったのはもうずいぶん昔のことだ。
 
 ICT産業以外にもそのようなグローバル化が押し寄せてきたと感じたのは、21世紀になってから。より安く請け負う人や組織が続々出てくるのだから、先進国の非熟練労働者の給与が頭打になるのは必然だ。それを政治的に是正しようとしたのが、韓国の文政権。規定の最低賃金を毎年2ケタ以上上げ、当初は労働者には好評だった。しかし労働者の取り分が増えれば、経営側の取り分が減る。

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 特に零細企業には致命的な措置になった。従業員を減らして経営者自身が16時間労働するなどというケースが頻発した。誇張はあろうが文政権下で、100万社が倒産・廃業し1,000万人が職を失ったともいう。あきらかな失敗政策だ。ところが、日本でもそのような議論が始まったと聞いて驚いた。
 
 
 自民党外国人労働者受け入れに当たり、中央に外国人労働者が集中しては地方の人手不足問題が解決されないとして「全国一律の最低賃金」を検討することにしたという記事である。どう考えても「木を見て森を見ない」近視眼政策だと思うのだが。
 
 外国人労働者受け入れは、絶対的に不足する労働力の補充と言う意味でありうることと思う。それがどこに移動するか定着するかは、需要と供給の経済原則に任せるべきだろう。首都圏は賃金も高いけれど生活費も高いので、そこで働き・暮らせる人が(日本人か外国人かを問わず)定着するわけだ。
 
 その結果首都圏で定着できなかった人が、労働者の絶対数が増えるなら出てくるはず。彼/彼女らがより賃金も生活費も安い地方に移っていけば、地方の人手不足も解消されるという風に考えてはいかがでしょう。
 
<初出:2019.1>