Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

ロヒンギャの武装蜂起

 シリアやイラクでのIS勢力掃討は続いていて、国と名乗っていたほとんどの拠点が攻略されるか包囲下にある。このままいけば、遠くない将来にIS勢力の拠点はなくなるだろう。ただ、拠点は無くなっても「勢力」が一掃されるわけではないのが、この手の戦争の難しいところ。

 
 ナポレオンという天才の足を引っ張ったのはロシア遠征の失敗というのが定説だが、その前にスペインでの非正規戦争(ゲリラ戦)でダメージを受けていたことも確かである。ヒトラーも、ユーゴスラビアやフランスのパルチザンには手を焼いた。
 
 またISは、中東で徹底抗戦をせずに「転進」をアフガニスタンやフィリピンに図ったという見方もある。強い相手とは戦わない、というのもゲリラ戦の常識である。心配したのは、個人的にも縁のあるミャンマーロヒンギャというイスラム教徒の部族が、ほとんど人間扱いされていないことをしばらく前に知ったからだ。ミャンマーは、タイと同様かそれ以上に「ほほえみの国」であって、敬虔な仏教徒が多く温和な人たちが住んでいる。それでもいまだに軍の影響力は大きい。
 

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 恐れていたことがついに起きた。ロヒンギャ武装蜂起し、ミャンマー正規軍との間で大規模な紛争に発展したのである。軍の側の発表なので割り引いて考えないといけないが、キル・レシオが1対10以上(29人対370人)と、軍の側の圧勝である。ロヒンギャ側がISと名乗っていないことから見ても、ISのベテラン戦闘員はまだ加わっていないように思う。
 
 それにしても、どんな武器を、どこから手に入れたのだろう。そのルートで戦闘員まで入って来て、隣接するバングラデッシュで軍事訓練してから再入国するようになれば事件は大規模になってしまう。そうならないように、祈っていますが・・・。
 
<初出:2017.9>