Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

マイナウ島

 ドイツ・スイス・オーストリアにまたがる湖、ボーデン・ゼー。その中に個人所有の島「マイナウ島」がある。コンスタンツ駅からバスで30分弱、島へつながる橋のたもとまで行くことができる。秋も深まった当地ではシーズンオフに訪ねてみた。

 

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 島は東西に600mほど、南北に400mほどの楕円形をしている。島の所有者ベルナドッテ伯爵は、大公フリードリッヒ一世のひ孫にあたる。伯爵は2004年に亡くなる前に、島を花と樹木のパラダイスに造り変え一般に公開した。それ以降、この島はボーデン湖有数の観光地になり年間100万人が訪れるという。
 
 コンスタンツ市街から島に行くにはバスのほかフェリーもあるが、今回は「宿泊者特典」のフリーチケットがあるのでバスを選択。島の入り口(入島チケット売り場)には、大型バスも収容できる駐車場があり、2台ほど停まっていた。南ドイツを巡る周遊ツアーらしい。
 
 島の南側からゆっくりと一周して、小高い丘の上にある城館などを見て回った。前日までの雨が上がり肌寒い陽気ではあったが、青い空に紅葉が見事。樹齢150年を越える木々が島を覆っている。船着き場からは、ボーデン湖越しにアルプス山脈が臨める。
 
 春から夏にかけては「花の島マイナウ」と言われるように、多くの花が咲き乱れるという。冬が迫ったこの時期でも、いくらかの花は咲いていた。ヤギなどの動物も飼育されていて、柵の内側とはいえ子ヤギが元気に跳ねまわっていた。

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 比較的規模の大きな温室もあり、南国の草木も元気に育っている。伯爵はイメージしたのは、地中海の島だったようだ。ドイツ人の、地中海に対するあこがれは強い。冬の間湿気を含む寒さと少ない日差しに苦しめられる彼らは、カラリとした地中海気候が大好きだ。それを疑似体験できる島ということで、根強い人気があるのだろう。
 
 城館にはいろいろな展示物があり、貴族の生活を彷彿とさせる。時々はイベントも開催されるらしい。島には遊歩道が整備されていて、大樹の陰をのんびり歩いて行った。島の高いところからは対岸の街並みが臨めるが、振り返ると立ち並ぶ住宅とは全く違う中世があるように感じる。「蝶の博物館」の前には、ちょっとしたビアガーデン施設もあるが、シーズンオフなので開いていなかった。
 
 マイナウ島を含めたコンスタンツ周辺は、日本ではあまり知られておらず「地球の歩き方」の南ドイツ編にも記載はない。しかしドイツ人にとってはベスト10に入る国内観光地であって、春夏中心ではあるが多くの観光客が訪れる。昔仕事で1年のうちの3カ月ほどをここで過ごした経験からすると、あまり観光客が多くない秋か5月ころがおすすめである。 
 
<初出:2016.10>