肩の凝る会議も終わり、簡単な食事をとって直ぐに眠ってしまった。モダンな造りのホテルで、駅に近く便利なのだが、エアコンの利きは良くない。時差の関係で、ヨーロッパ地区だと大体午前２時くらいに目が覚める。それ以上眠れない場合は、翌朝用に買っておいた軽食の半分くらいを食べながらメールをチェックしたり、本を読むなどしているうちに４時過ぎくらいになる。眠気が戻れば、それからもうひと眠りすることもよくある。
起きたら８時、まだ陽が上ったばかり、曇っているせいで暗い。荷物をざっと詰めてから、散歩に出かけた。坂を300mばかり下ると、レマン湖に出る。昨年は初夏に来て、さわやかな雰囲気だったが初冬の今は陰鬱な感じ。名物の大噴水も営業休止している。
ジュネーブは、スイスがレマン湖ぞいにフランスに食い込んだ「出島」のようなところ。周囲はすべてフランスである。公用語はフランス語だし、フランスの一部といってもいいくらいだ。ただ現地で暮らしたことのある人によると、物価は高く食物はまずいから週末買い出しにフランス側へ行くのが普通だとか。これは僕がスイスの反対側、クロイツリンゲン（スイス）とコンスタンツ（ドイツ）で見たのと同じだ。
レマン湖から流れ出す川の中州は「シテ島」というのだから、これはまるきりフランスである。小雨も降り寒い（０℃くらい）ので、観光客など歩いていない。鳥だけはいっぱいいて、カモメや白鳥、スズメまで群れを成して中州にかかる橋にやってくる。ホテルへの帰りは、湖の反対側からトラムに乗った。頻繁に来るし、乗り心地もいい。観光客はホテルに泊まっている期間、タダで乗れるというのもうれしい。
さあ、そろそろ戻って帰り支度をすることにしましょう。
＜初出：2017.12＞
