Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

サン・マルタン運河

 少しだけだが、パリで街を歩く時間がとれた。リヨン駅前のホリディインの名前は「ホリディイン・バスティーユ」である。表に出ると、リヨン駅の反対側にバスティーユ広場の塔が見える。そこまでは、歩いて10分ほどである。リヨン駅から1ブロック南に行くと、セーヌ川に出る。そこはセーヌ川サン・マルタン運河が交わるところだ。多くのレジャーボートが停泊していて、アルスナル港と呼ばれている。

 
 ここからバスティーユ広場に向けて続く水路がサン・マルタン運河である。バスティーユ広場からは地下水路になるが、大通りの下をレピュビュリック広場まで流れ、さらに遡るとラ・ヴィレット貯水池まで続いている。全長は4.5km余り、映画「アメリ」の舞台となったところだ。
 
 日本ではまだ徳川幕府の時代だった1825年に完成し、パリ市民への水の供給を担ってきた水路である。水源とセーヌ川の水位に差があることから、いくつかの閘門が設けられている。現在はもっぱらレジャー用の運河となっていて、ホテル替わりのヨットの上で暮らしている人もいるようだ。バスティーユ広場とアルセナル港の中間に歩道橋がかかっていて、この写真はその上から撮ったものだ。
 

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 運河の東側は遊歩道や公園になっていて、朝のランニングをしている人たちもいる。ステーキハウスも営業していた。運河の突き当りにバスティーユの塔が見えるが、その手前は地下鉄1号線バスティーユ駅のプラットフォームになっている。一番古い地下鉄路線であり浅いところを走っているので、運河の上を通るからちょうど水面上のプラットフォームがあるのだ。
 
 もう少し温かくなれば緑に覆われることになるのでしょうが、そうでなくてものんびりした美しい水辺です。物価高騰、貧困層も多くなったパリですが、市民は伝統ある資産を持っているのも確かです。
 
<初出:2018.3>