Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

日米交渉から日米連携へ(3/終)

それでは、この大げさな会議でどのような議論がされているか、僕の専門の範囲で紹介しよう。デジタル経済の分野では、それ自身が世界経済発展のための最重要分野であるとの認識がある。しかしインターネットがひとつであるように、国境や関税がなく世界で同じルール/規則でデジタル経済が展開できることが望ましい。日米両政府には、そのような世界を実現できるよう国際世論を導いてほしいというのが、提言の骨格である。より具体的には以下の4点である。

 
 ・デジタル革命で重要なのはデータ、データにアクセスが成長の要因。
 ・公的セクターのデータを民間に開放し、国境を渡るデータフローを確保。
 ・中小企業・スタートアップ育成のため、データ活用を推奨すること。
 ・サイバーセキュリティの強化とデータ活用とプライバシー保護のバランス。
 
 よく欧州では、国際インターネット企業GAFAGoogle, Amazon, Facebook, Apple)が欧州からデータを搾取し独占しているとの議論があるが、彼らが突出して先行しているだけで、日欧の企業も広大なインターネット経済のどこかに拠点を置くことはできない相談ではない。その場合に上記4原則は、産業界の助けになると、僕たちは考えている。

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 日米連携という意味では、日米の産業界が協力してより便利なデジタル・ソリューションを日米以外の国へも展開しようということで、相互協力はかなり以前から進められている。ただ、相変わらず日米交渉的対立軸も残ってはいる。例えば日本の電波に関することで、米国側からは「電波オークション」導入をしつこく迫ってくる。
 
 
 日本の産業界(特に電気通信事業者)は、この点については受け入れず、監督官庁である総務省も知らないふりをしている。このような点は残っていますが、繊維交渉や半導体交渉のようなゼロサム型の議論から、連携して新しい市場を開拓しようという方向に少しは動き始めました。これが加速してくれることを祈ります。
 
<初出:2017.11>