Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

官民データ活用推進基本法(2)

 この法律で具体的に何が変わるのかというと、実はあまりない。昨日書いたように「基本法」であって大きな方針を示すのが目的だからである。もれ聞く話では、先の個人情報保護法改正にあたり「保護に偏るから法律の名前を個人情報法にしてしまおう」という意見があったようだ。しかし法律改正にあたって名前を変えるのは「前例がございません」と言われたのか、保護という言葉は残ってしまった。そこで、今度は活用法(個人情報だけではないのだが)を作ればいいということらしい。

 
 大きな方針としては「個々の分野でバラバラに収集・保管されている情報を、分野内や分野間で流通させ活用しよう」ということ。そのための分野として政府がそれなりに関与できるのは、中央政府自治体くらいしかない。
 
 監督官庁とは言ってもその業界の個別データまで収集しているものは少ないし、まずは自らと自治体をテストケースに「データ(流通)活用」を推進する方針を出したわけだ。そこで、

 ・政府による官民データ活用推進基本計画の策定:これは閣議決定後公開される。 

 ・都道府県による都道府県官民データ活用推進基本計画の策定:この策定・公開は
  義務である。

 ・市町村による市町村官民データ活用推進基本計画の策定:これは努力義務。

 のように計画策定・公表をやりましょうということになった。
 
 政府(霞ヶ関)は人材も予算もそれなりにあるので、大方針を出せばなんとかするだろう。しかし市町村となると資源不足でまるきり無理なところもあるよね、ということで努力義務に。中間にいる都道府県は工夫してなんとかしろよ、という感覚に見える。
 

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 もともと政府・自治体で持っているのは税金で収集・整備したデータ(例:国勢調査)だろうから、本来は国民のもの。特定秘密にあたるものやプライバシー侵害のおそれのある個人情報以外は国民に公開するのが当然といえば当然である。そういうものを私企業含めて活用することは、無理が無い話だと思う。そのあたりから、データ活用の事例を引き出していくことは「正道」である。

<続く>