Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

改正個人情報保護法(3)

 次の改正ポイントは「匿名加工情報の規定」。第二次安部内閣は足掛け4年前の成立時から、成長戦略の一環として「データの利活用」を掲げてきた。第二次安部内閣最初ののIT戦略では、ヒト・モノ・カネに次ぐ第四の経営資源にデータ(情報)を上げている。ところがデータ、特に個人情報については「俺の情報を使って、企業が稼ぐとは何事か」という種類の批判も多い。

 交通系ICカードの情報は膨大である。駅の乗降客数はもちろん、起点・終点情報、KIOSK等での購買履歴、提携コンビニや飲食店での支払いなど、飲食店の出店計画や小売店での品揃え、交通ダイヤの改善などに役立つ情報ばかりだ。しかし2年ほど前、交通系ICカードのデータを整理して利用企業団体に提供するという計画を、JRと某社が発表したところ「炎上」してしまった。

 結局このサービスと、これを基にした産業等の経営強化はできないままだ。政府は交通系ICカードデータに限らず、企業団体の経営に資するデータは流通・活用させたいと考えたが、そのために何らかの規定が必要として「匿名加工情報」というものを編み出したのだろう。

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 これは「特定の個人を識別することができないように個人情報を加工した情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたもの」と書かれている。また関係者には他の情報と組み合わせたり情報の復元を図ったりして、個人を特定するような行為そのものを禁じている。

 紛らわしいものに、統計情報というのがある。交通系ICカードの例で言うと、NINJAが新宿駅で何時に降りたという情報からNINJAの名前を消したものが匿名加工情報で、何十人も同時に降りているから何時何分には何人降りたというのが統計情報である。エクセルの表で、個人が特定できる欄を塗りつぶしたのが匿名加工情報。一番下の列で合計値だけになってしまっているのが統計情報と思ってもらってもいいだろう。

<続く>