よくヨーロッパの諸都市を訪れるのにハブ空港として使うフランクフルトだが、今回はここが目的地。20年以上前に一度降りた(トランジットしなかったの意)ことがあるが、この時もすぐ鉄道に乗り換えたので、実質最初のフランクフルト訪問である。
ヨーロッパには、100万人を超える巨大都市は少ない。1,000万人を超える都市が続々生まれてくる中国等とはわけが違う。フランクフルトも欧州大陸の金融中心都市であるが、人口70万人ほど。それゆえ、列車で20分も行けば郊外に出てしまうほどコンパクトな街だ。空港から中央駅までSバーン(近郊列車)で10分、タクシーでも20分で旧市街に着く。
フランクフルトの旧市街は、東西1,000m、南北700mの少々いびつな5角形をしている。南はライン川の支流であるマイン川に面していて、東・北・西は緑地帯となっている。この緑地帯、複雑なジグザグ形状をしているのだが、地図を見ると突角堡の連続のように見える。例の五稜郭の外枠のような形状だ。恐らく、緑地帯は旧市街を囲む城壁・防御施設の名残りなのだろう。
フランクフルトはさほど有名な観光地ではないが、ガイドブックにいう名所(大聖堂・レーマー広場・ゲーテハウス・ゲーテ広場等々)の多くは、この旧市街にある。旧市街はもちろん昔ながらの建物が多いのだが、歩いてみると方々で建築用のクレーンが動いているのが目につく。一部は建物の補修だが、かなりの数の建て替えが起きているようだ。
高所から見ると、旧市街の外でもクレーンが多く動いているからかなりの建築プロジェクトがこの街で進行していると思われる。パリなどだと、旧市街のリフォームには制限があって外観を維持したものしか認められない。東京駅丸の内南口の郵便局のように、5階建ての外観(外枠)だけ残してその内側に近代的な高層ビルをたてKITTEと呼ぶようなことはできない。東京駅周辺では、日本工業倶楽部も似たような手法で建て替えている。
しかしここフランクフルトではそのような配慮はないようで、古い街並みの中に高層ビルや近代的な建築が混在している。新旧入り交じりながら変貌してゆく街なのだ。
<続く>