Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

ウィーン市立公園

 ウィーン中央駅の南に、リンクと呼ばれる大通りに沿って広い公園がある。ざっと500m×200mくらいあるだろうか。中には川も流れ、池もある。大都会の真ん中に、これほどの公的空間があることに「豊かさ」を感じる。
 
 都市は、その成り立ちで公的空間の広さに違いが出るという。為政者がいて統治が効いていると、まず為政者が自分用の空間をとってしまう。残りの部分を庶民が分け合うことになる。トップダウン型の都市開発だ。
 
 しかし、強い為政者がいないと、参加者(ステークホルダー)が自分勝手に線引きをする。少し上品に言うと、ボトムアップ型、もしくはマルチステークホルダー型である。この場合、力の強いもの発言力のあるもの、もしくはカネのあるものが自分のできる範囲で場所を占拠してしまうので、中心に近く利便性のいいところに広い公的空間を確保するのは難しい。
 
 リンク大通りは、もともとはウィーン旧市街を囲む城壁を取り除いた跡地である。地図でみると、旧市街は半径600~700mくらいの円に収まる広さであることがわかる。この公園は、城壁を取り除いた後、19世紀中ごろに整備されたという。
 

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 ウィーンといえば「音楽の都」。有名な音楽家が欧州各地から集まってきた。要は、ハプスブルグ家が集めたのである。この公園にも、シューベルトブルックナーなど大勢の音楽家の像が立っている。一番目立つのは(たぶん)ヨハン・シュトラウス2世の像だろう。金色に輝いて、躍動しているようにも見える。
 
 この公園はもちろん、かつてこの街につどった芸術家たちも含めて、為政者ハプスブルグ家の遺産である。東洋からの旅人も、少しはその匂いをかいでリラックスさせてもらいましょう。
 
<初出:2016.6>