Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

新旧入り混じり変貌する街(後編)

 フランクフルト旧市街地を「Innenstadt」というが、その外郭から中央駅までは500mほど離れている。中央駅からトラム(これ大好き!)の11番に乗っていくと、アジアンレストラン・ケバブの店・安売り雑貨店などが並び、エスニックな香りがする。そして、Willy-Brandt-Platz駅(トラムに加え地下鉄Uバーンが乗り入れている)が近づくと、巨大なユーロのモニュメントが見えてくる。

 
 ここからが旧市街だが、ドイツ連邦銀行を始め多くの金融機関が高層ビルに収まっている。このあたり昼時になると、スーツ姿でネクタイまで締めたエスタブリッシュ層と思しき人物が闊歩する。エスニック街の物乞い、路上生活者やあまりきれいではない服装の人たちとは、きわめて対照的な風情だ。
 
 前に述べた建設ラッシュだが、「Brexit」と無縁ではないと思う。世界の金融中心は、ニューヨーク・上海・香港・シンガポールなどいろいろあるが、欧州ではロンドンとフランクフルトが双璧。これがイギリスのEU離脱決定によって、ロンドンの価値が下がっている。ただでさえ「先取り」が得意の金融業界だから、いち早くロンドンから逃げ出すものがでるのは当たり前だ。

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 彼らの避難先の候補は、フランクフルトが一番に挙げられよう。その需要を当て込んでの建設ラッシュと思われる。古い街並みより新しい価値が優先されていると考えるべきか、フランクフルトはパリほど頑迷固陋ではなく多様性を受け入れる寛容さがあると考えるべきか、判断は分かれる。
 
 しばらく滞在してみて暮らしやすい街だと思った。青い日系航空会社が羽田から直行便を1日2便飛ばしていて、日本からの交通の便もいい。時々訪れたい街なのだが、あまりエスタブリッシュメントが増えすぎて生活費が高騰してしまうのか困りますね。発展もほどほどにお願いしたいです。
 
<初出:2017.8>