Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

ガーデンハウスCHACHA

 函館も好きな街である。古い港町なので異国情緒があり、個性的な店が並ぶ。言うまでもなく良質の食材があるので、おいしくてリーズナブルな食事ができる。おおむね避暑を目的に短期滞在をすることが多いが、ここでもコンドミニアム型の宿泊施設を捜していた。
 
 見つけたのは「ガーデンハウスCHACHA」という施設。前回ご紹介した「ムーンオーシャン」のような大規模コンドではなく、6部屋だけのシンプルな宿である。函館ロープウェイ駅に近く、正ハリストス教会の隣にある。名前の由来はチャチャ登りという坂の上にあることにある。決して広いわけではないが、簡易キッチンがありゆったりした気分でお茶を飲んだり、軽食を食べたりできるのがいい。2階の3部屋にはロフトもついている。
 
 チャチャ登りを下っていくと、コープさっぽろがありお酒を含めて大抵のものは手に入る。まあ、荷物を抱えて坂を登ってくるのは大変ではあるが。ちなみに「チャチャ」とはアイヌ語でおじいさんのこと。坂が急なので、登る人の様子が腰の曲がったおじいさんのように見えるからだという。苦労して坂を登るのは、眺望がすばらしいからだ。函館湾や市街が一望できる。

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 落ち着いたいい街ではあるが、課題も見えてくる。人口は30万人前後。平成の大合併で少し増えたものの、その後は減少が続いているという。函館駅青函連絡船への乗り継ぎ駅だった。つまり鉄道に関していうと「行き止まり」の駅である。青函連絡船廃止後はその欠点が顕著になっている。現に今年開業した北海道新幹線新函館北斗駅は、函館市ではなく大沼などに近い北斗市にある。
 
 函館駅前は虫食い式に駐車場が増えているし、大手企業の支社も五稜郭の北の方に移転するなどしていなくなってしまった。街の中心が北に移り、都市部の拡散が進んでいる。都市部の拡散は、エネルギー・通信・道路・公共交通・水道等の社会インフラを拡張させ、社会コスト負担増につながる。一方、中心市街地に地価は下がり、自治体の税収(特に固定資産税)の減少につながる。歳出が増え、歳入が経れば自治体経営がままならないことは自明である。
 
 拡散を防ぎ逆に中心部を活性化させるコンパクトシティ構想はいろいろな街で議論されているが、上手くいっているものは少ない。ここも北への拡散を防ぐ方法は・・・とCHACHAの窓辺で街を見ながら悩んでいる。 
 
<初出:2016.6>