Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

Point of Sales(3)

 小売業の成功要因の8割は「仕入れ」に掛かっているように思う。いかに売れるものを仕入れ売れないものを仕入れないか、である。売れないものは調達費用を回収できないだけでなく、売り場を占拠して時間×場所を空費させたというロスを生む。場合によっては、廃棄にもコストがかかる。

 それでは何が売れ、何が売れないのか?そのヒントは、過去の売り上げデータにある。後年「ビッグデータの分析・活用」と騒がれたことの先行例が、ここにもある。実際流通業のそこかしこには、大量のデータが蓄積されていることが多い。POS端末は一杯あるし、それらが毎日・毎時データを吐き出し続けるからだ。ところがデータをうまく活用できている企業は、意外に少ない。

 単純に「売れ残ったものは仕入れない」程度の話であれば、データを分析・活用するには及ばない。在庫の山を見てうめくくらいで十分である。その後、好んで発注する店長はいない。だがイベントや天候がからんでくると、多少分析らしくはなる。

 ・明日は地方祭があって人出が多くなるので、飲み物を少し多めに仕入れておこう。
 ・天気予報によると、明日の気温が4度ほど低くなる。おでんの仕入れを増やして看板も架け替えよう。
 ・雨が続いて遠くのスーパーに買い物に行けない高齢者が多い。新鮮な野菜類を増やしておこう。

 などとコンビニの店長が考えるケースがある。直感的に正しいのだが、過去のお祭り・気温の下がる日・長雨の何日目か・・・のデータがあれば、それを裏付けられる。データの助けがあって迷わず発注できるとすれば、意味のある分析といえる。しかし流通のプロならもっと面白いデータ分析・活用をしたいし、またできるのではないだろうか。    

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 データ活用をした企業として、よくコンビニチェーンや外食チェーンの名前が挙がる。ところが、ひとつワナがある。報道などされる時期には、有能なマネージャがいて「こういうデータをとって、こういう分析をして、こういうフィードバックをする」というサイクルが確立している。ところが彼がいなくなると、後任のマネージャはその意味を十分理解せずただデータだけを集めて貯めているということが時折見られる。その結果、しばらくすると業績にかげりが見えてくることがある。

 データは貴重なものだが、それを活かせる人物の方はもっと貴重ということだろう。

<続く>